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Eternal First Love 5

***



大きな木のある校舎。


真新しい少し大きめの制服に身を包む。



「ぴゃああ、高校生、高校生だよぉ!」



長い間結んできた髪をおろし、ストレートアイロンで背伸びをした。


高校生とはさらさらのストレート髪をなびかせる大人びた存在。


その一員になれているのか、ドキドキしながら足をパタパタとさせていた。




「私、変じゃないかな? ちゃんと制服着れてる? 顔、大丈夫かな?」



手鏡を取り出し、顔を覗き込ませるもだんだんと青ざめていき、勢いよく鏡を閉じる。




「髪下ろすとか調子のってるかな? あーん、今さら悩んでどうするのよぉー!」



長い髪の毛をかきよせて、肩を狭そうにしながらぶつぶつと呟く。



「大丈夫、大丈夫。 なんとかなる」



だがその気休めさえも嘲笑うかのように何もない足元で躓き、思いきり転けてしまう。


荒削りのコンクリートに直撃し、身体を起こして額をさすった。



「いたいよぉ。なんで私ってこんなんなのぉ」


「……大丈夫?」


「ふぇ……?」



間抜けた顔をあげると、そこには大きく開かれた吸い込まれそうなたくさんの色が見えた。


黒色と一言で表すには惜しいほどに、その色は七色レベルに不思議な色をしていた。


お互いにポカーンとしながら視線を交わしたあと、彼はパッと目をそらし、手を差し出してくる。



「立てそう?」


「うん、立てる。ありがとう」



手を取ると、少しだけ皮の厚い不思議な温もりを感じた。



「新入生?」


「うん」


「一緒。オレ、黒咲 由利。よろしくな」



そのはにかんだ笑顔は、あまりにキラキラしていて目を奪われる。


遠い昔に見たような、既視感のある星のような輝き。


いつ、そんな星を見ただろうかと首を傾げるも、ふわふわとした温かさにヘラっと笑った。



「私、時森 芽々」



二人並んで校舎への道を歩く。




「時森って、なんか月みたいって言われない?」


「えっ!? そんなに顔丸い!?」


「いや、そういう意味じゃなくて!」



オロオロしだす姿に緊張が解けていく。



「ふ、あは。もしかして黒咲くんって天然?」


「えぇー? あんまり言われないけどなぁ」



これが私たちの拗らせたファーストラブ。


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