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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター1 目覚める前の日常
8/69

モデルの星(1)

「帰ろうぜ」


「いいよ。ちょっと待って」


 俺はカバンに荷物を詰めて、学校から出た。

 すると、いつも以上に俺の顔を凝視している類が見えた。


「何だよ」


 そう言うと、類は照れたように笑って、へらへらとしながら言った。


「いや~、お前はやっぱり顔綺麗だなってぇ。お前の横にいると、俺が女になったみたいに思うんだよな」


「えっ、怖っ。病院行った方が良いぞ」


「ひどいな! でも、お前はほんとにイケメンだと思うよ」


「あっそ。ずぅーっと前から分かってるっつーの」


「だろーな。じゃな!」


 類の家は学校にかなり近くて、いつも学校から出て三分で別れる。

 その後は、いつも一人で帰っている。


 ……俺は十歳の時に、それ以降の記憶が全てなくなった。事故でも、病気でもないのに、ある日全て忘れた。その後は、両親が新しく付けてくれた自分の名前とか、物の名称とかを覚えて言ったから、今では普通に生活できるし、モデルの仕事もできてる。でも、十五歳の誕生日に母さんは言った。


「あなたは記憶が無いから覚えていないだろうけど、とてもかわいい妹がいるのよ。違う里親に引き取られたから、どこにいるのかは分からないけれど」って。


 それと、俺はずっと首に着けていた星のモチーフのコインのついたネックレスは、そのかわいい妹と同じらしい。


 それ以来、俺は妹に会いたくて仕方がなかった。


「きっと碧葉もびっくりするわよ。会えたらいいわね」


 と、母さんは呑気に言っていた。


 両親は、俺は血のつながっている妹に会うことに対して、反対しなかった。

 むしろ、会えたらいいねと言ってくれた。


 妹はどう思うのだろうか。戸籍上、俺と妹には同じ血が流れているけれど、俺は謎の記憶喪失でその妹の名前も覚えていない。そんな兄が「俺がお前の兄だ」って言ってもいいのか? 俺は声も顔も忘れているのに。


 そう思ってから、妹を探そうとすることは辞めようと思った。だって、いきなり現れるなんて、ズルいじゃないか。俺はアイツを一人にしたんだから。俺がアイツを探す権利はない。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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