#45
みんな着替えて、食堂に向かった。
「あれ、服部さんの髪、かなり濡れてますね」
「プールに入っていけ淹れけど、東条君がプールに落ちた時の水が、かかったのよ」
「えっ! ごめんね」
「構わないわ」
そういえば、服部さんがこうやって髪を結んでいるの初めて見たな。
「トマト特製、冷製パスタだよ~」
食堂に入ると、味見沢さんは鍋でパスタをゆで、味見沢さんは隣でクッキーを作っている。細かい砂糖を振りかけている最中らしい。
「味見沢さんのパスタ、とても色が綺麗ですね」
「うん! さっき練って、形を整えたから、出来立ての麺だよ」
みんな椅子に座った。
「あの、味見沢さんの方は時間がかかるので、クッキーを食べてみてほしいと」
「へえ~」
「あっ、ちょっと待って。コーヒーも飲んでほしいんだ。みんな水に浸かってたしね」
パスタから手を放して、コーヒーメーカーへ向かう。
「アタシ我慢できない。先に一枚もらうよ」
筆先さんはそう言って一枚食べた。
「うん、もうちょっとで淹れられるから、みんなそれ食べて待ってて」
皆一枚ずつ食べた。おいしい、特に甘い砂糖が。
人数分淹れた後、みんなに配った。
「ほら、出来たよ」
あの時みたいな「いつも通り」が戻って来た。
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