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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター3 血族の絶望
67/69

#43

遅れてごめんなさぁ~い!!

「あーあ、疲れた疲れた。と言っても、ここには娯楽もないんだよねー」


「あるのは、プールくらい?」


 そう言った時、誰かがドアをノックした。

 ドアを開けると、白石さんがいた。


「あ、あの、えっと……イブさんが『みんなでプール入ろうよ』と言ってました。みんなやることなくて、結構ノリ気みたいで、お二人もどうですか?」


「……うん。行こうよ。あのプール、ちゃんと温水になってるし」


「僕もすることないから行くよ」


「リビングにイブさんがいます。水着渡して下さるみたいなので、行けばもらえると思います。私と味見沢さんはおやつにクッキーを作っているので、皆さんに伝えておいてください」


「分かった、ありがとう」


「いえ、それでは……」


 白石さんはそう言って、自分の部屋に戻った。


「イブちゃんも入るのかな」


「それはないんじゃない?」


「ま、とりあえず行ってみようか」


 リビングには、イブが立っていた。


「あっ、来た来た。ほら、どうぞ。ま、まあ、男子はみんな一緒だけど、女子はワタシが着てほしいものを選んだけなんだけどね」


「え、それって危なくない?」


「……うん大丈夫だよ」


「間があるのって、結構怖いね。まあ、パーカ着るけど」


 部屋に戻る途中、白いワンピースを着ている未来さんとすれ違った。


「そのワンピース似合ってるね」


「イブからもらった。華子はすぐに水着に着替えてもう行っちゃったけど、未来は海とかプールとか嫌いだから。まあ、様子見に行くけど。華子は放っておいたら、何しでかすか分かんないし。じゃ」


 そう言って、未来さんは走り出した。


「じゃ、私達も行こうっと」


 別れて、僕はすぐに着替えた。

 水着とかプールって何年ぶりだろ……。


 プールに行くと、びっくりした。前まで屋上にあったのにいつの間にか青い屋根がついてる。証明も付いていて、かなり眩しい。


 それに、普通に泳いだり、水につかるだけだと思っていたんだけど、南国のリゾート地みたいに、水面に銀色の丸いトレーを浮かばせて、その上にワイングラスが二つ置かれている。中にはトロピカルジュースが入ってるみたい。


 みんな普通に満喫してる。あ、でも、何人かいないみたいだな。


「もう来てたんだね」


 未来さんの隣に座っていた。


挿絵(By みてみん)


「うん。気になって、早く見たくて」


「そっか。でも、プールの中に入らないの?」


「うん、見てるだけでいい」


 そう言って、夜空ちゃんはどこかをまっすぐ見ていた。


「おい、おい、東条」


「えっ?」


 顔を動かすと、プールの中で立っていた音寧君がこっちに何か言っていた。


「手、出せ」


 言われた通り手を差し伸べると、そのままプールの中に引き込まれた。


「わっ、危ない!」


 僕は派手にプールの中に突っ込んで、浮かんでいたトレーはプールサイドに飛んで行った。


「あら、大丈夫?」


「うん、何とか」


「なあなあ」


 そう言って、音寧君は他の人の目もくれずにプールの端に寄って、耳打ちした。


「なあ、やっぱ星乃ってスタイル良いな」


「え? あ、そうなの、かな。僕はよく分かんないけど」


 ビキニだから、ボディラインははっきり見えるけど、まあ、細身ってことしかよく分からないや。


「いいんだってば。何食べたら、ああなるんだろうな。俺のオーケストラにいる女にも教えてやりたい」


「さすがにそれは分からないけど。女の子って、そんなに魅力的なものなの?」


「そうだよ。まあ、俺が異常だってのは知ってるけど。みんな可愛いから、しょうがないって。俺の好みじゃない子には、俺だって興味ないし。それにお前が全然興味ないのも、変な話だろ」


「音寧君は、どうやって接点を作ってるの?」


「え、普通に話しかけたり」


「へぇ~、そうなんだ」


 そう言って、音寧君はプールから出た。

 この中にいる子の中で、一番高校生って感じかもしれない。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] リリィ様お帰りなさい! 最近は短編が投稿されても、すぐに消えるから心配してましたよ。
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