表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター3 血族の絶望
66/69

#42

 その後は、昼食以外どこにも行かなかった。ずっとぼうっとしていた。


 ――二人も消えて、逆に夜空ちゃんにとってはいい事が起きて、僕は色んなことがぐるぐると回っていた。

 幸と不幸は逆の存在。でも、誰がどんな風にその幸をつかむのか、はたまた不幸をつかむのか。それは誰にも分からない。


 全然忘れられない。絵藤君は断罪の後、笑ったんだ。これから死ぬのに。まるで、これが本望だと言わんばかりの嬉しそうな笑みだった。


 確かに、僕たちは正しい人を断罪した。東雲君を殺した人、今回で言えば絵藤君をちゃんと指名出来た。それに科学的証拠は乏しくて、ほとんど、夜空ちゃんのひらめきだったけれど。


 でも、当たった。ちゃんと最小の命が落ちた。いや、落ちてほしくない。あの奥の部屋で生きていてほしい。イブのことなら何をするか分からない。「もう死んだ」と言いながら、生きてる――かもしれない。いや、生きてるに違いない。そう思っておこう。


 ベッドに寝転んだ瞬間、インターホンが鳴った。


「……誰か来た?」


 そう思って、ドアの目の前に来た時にドアが開いた。


「うわっ!」


 鍵、ちゃんと閉めたはずなのに!


「だーかーらー、そんなバケモノ見た時みたいな悲鳴出さなくてもいいでしょ。私は修学旅行の引率の先生じゃないんだからね!」


「……」


「こらこら、思考停止(フリーズ)しないで」


「あ、うん。ごめん、その後半の例えが予想外で考えてた」


「何でもいいから、とにかく考えさせた方が正気に戻るかなって。っていうか、もう夜だよ」


「え⁉」


「ほら、みんな待ってるよ。ねえ、もしかしてアナウンス聞こえなかったの?」


「うん。あの……やっぱり何でもない」


 なぜか隠してしまった。


「彩斗君が生きてたら、でしょ」


 ――ッ⁉


「図星だね。うん、私もそう思ってるよ。まあ、それを保証してくれる人なんかいないけどね」


そう言って、僕の手を引いて立たせた。


「まあ、今はみんな揃ってる。とりあえずそれでいいんじゃないかな。都合よく筋書き通りにはならないしね」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ