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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター3 血族の絶望
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#37

「……あっれ、おっかしいな。みんな希望がある顔してますね。あ、ラノベデスゲームよくある『実は死んでませんでした~』っていうオチを期待してるのですか。ああ、それはないですよ」


「早く帰りたいんですけど」


「だったら、今すぐ誰かを殺すのみですね。ほら、今は断罪が発生していないので、ここを封鎖しておきますね。荒探しされても困りますし」


「そんなことよりも、服部、何隠してんの?」


「……私、名前以外覚えていないの」


「何で早く言わなかったの?」


「間違いなく、私が疑われて話が脱線すると思ったから、言わなかったのよ」


「いくら感情が顔に出ないとしても、記憶喪失になったら、もっと取り乱すんじゃね?」


 筆先さんが言う。


「確かに。名前だけは憶えていたとしても、普通は焦るよね。それ以外覚えていないだから」


 風早さんが同調する。


「そうね……。それに関しては、私のリアクションが薄いから……としか説明できないわ」


「信じらんねー」


 音寧君が投げやりに言った。


「別に信じなくても良いわ。それが真実であることを、頭の中に置いているだけでいいの」


 自分の名前以外覚えていない、か……。

 そのことを後から付け加えたかのような雰囲気はなかったけれど、何しろ完璧なポーカーフェイスの服部さんだ。他に何か隠しててもおかしくはない。


 部屋に戻って、ベッドに座った。

 未だかつて感じたことのない疲労感に襲われた。

 深海の中に沈んでいるみたいだった。


「疲れた……」


 とにかく疲れて、何も考えが回らない。

 ダメだ、この状態で考えない方がいいな。


 ……空気、綺麗な空気を吸いたい。

 そう思って、屋上に出ることにした。


「はあ、やっぱりきれいな空気だ」


 僕は、ベンチに座って、目を閉じた。

 聞こえるのは、木の葉がすれる音だけだ。


「ああ、眠い」


 一段落したら、凄まじい眠気が襲ってきた。


「ここでひと眠りしよう」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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