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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター3 諦めの絶望
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#36

「あ、お前の持ってるその定規って、線が印字されてる方は斜めだよな」


 音寧君が絵藤君に向かって言った。


「そうか? イラストレーターが使う定規以外でも、大抵は斜めじゃね?」


「あ、そうか! 分かった!」


 世紀の大発見をしたかのように、氷室君が言った。


「手紙ついていた粉と、星乃さんたちが持ってきた粉は一致した。でも、それが何かは粒が小さすぎて、ここの設備じゃ分からなかった。でも、顔料じゃないかと思うんだ」


「顔料?」


「うん。犯人は定規を使って手紙を書き、その後給湯室やトレーニングルームへ行き、ダンベルの用意をする。その後、東雲君をおびき寄せた。給湯室で一人待っている東雲君の裏側のトレーニングルームで糸を切って、殺害。ダンベルはトレーニングルームに、糸は六階の廊下において、自分は部屋に戻る」


「……それならいいんじゃない?」


 確かに、変なところは無さそう……。


「ねえ、その定規調べさせてくれないかな?」


「――いや、その必要はない。でも、もう一人怪しい奴がいるぞ。自分の素性を明かしてない奴だ。なあ、服部。お前は何の星なんだ?」


 あっ! そうか、それが僕の感じた違和感だ。

 みんな星の称号を持っているのに、彼女だけ名前を言っただけだった。


「なぁ~んちゃって」


 絵藤君は両手を挙げた。「降参する」という合図だった。


「あーあ、バレちったなあ。俺の人生の中で、一番頭使ったんだけどな。まあ、お前らには敵わなかったってことか」


 名残惜しそうに絵藤君は言った。


「やっぱりやったの?」


「そうだよ。俺は、ここから出る必要がある。もしここに絵具とかがあれば、誰も殺さずに済んだけど。ここにあるのはシャーペンだけだからさ」


「認めるのね」


「ああ、認めるよ」


「断罪終了デ~ス! それでは、投票してください」


 僕は……絵藤君に投票せざるを得なかった。


「は~い、じゃあ彩斗君はここでジ・エンドで~す☆ 何か言い残したことある?」


「……あっ! 東条、お前とは唯一気がある奴だと思ったよ。それと、服部。やっぱ、お前もうちょっと笑った方が良いぜ。それと、さっき俺に言ったことみんなに言った方が良いぞ」


「ええ、そうね。ありがとう」


「じゃあな!」


 そう言って、手を振りながら無邪気に笑った。


「あっ、みんなまだ十八歳じゃないんだよねぇ~。人が死ぬとこ見せたら、R—18に引っかかっちゃうので、彩斗君は孤独に終わりを迎えましょうか」


 そう言って、イブは絵藤君の手を握って、断罪室の奥にある部屋に連れて行った。


「あ、イブが戻ってくるまで、ここにいてくださいねえ」


 僕たちは、一つにまとまって座っていた。

 みんな怯えたり、考え込んだり、あるいは断末魔を聞くかもしれないから耳をふさいだりしている。


 僕も下を向いて、頭を抱えていた。

 ああ、また死んじゃう……。


 その時、イブが出てきた。


「お待たせしました~」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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