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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター3 諦めの絶望
58/69

#34

「東条さんと、味見沢さんに決まっているでしょう。あるいは、二人で共謀したのかもしれません」


「トマトじゃないよ!」


「本当にそうでしょうか。とにかく、味見沢さんが適当に探して、たまたま一番に東雲さんを見つけたことは、あまりにも出来すぎている気がします」


 吉野さんは、僕が味見沢さんが犯人で決定しているみたいだ。

 今何を言っても、納得してもらえないだろう。


 でも、証拠が無い以上、僕たち二人に絞ることもできないから、今は疑われても仕方がないだろう。


「じゃあ、見つけた証拠を氷室君、教えて」


「うん」


 そう言って、ビニール袋に入っているたくさんの証拠品を机の上に置いた。それと同時に、イブもタブレットを操作して、タブレットに証拠の詳細を記載したデータが映された。


「まずは、服部さんが見つけた釣り糸だよ。全部で三メートルくらいのが二本。切り口を観察してみたんだけど、一本の糸がナイフとかハサミで切られて、二本に分かれたみたい。それと、ところどころに鉄の(さび)がついてたんだ」


「それはどこで見つけたの?」


「六階の廊下に落ちていたわ」


「次に、僕と筆先さんが一緒に行動していた時に特定した凶器のダンベル」


「筆先さんから聞いたんだけど、ルミノール反応を使ったんだよね?」


「そう。毒物保管庫からルミノール溶液と過酸化物溶液、それに試験管を持ってきて、混ぜてからダンベルに一つずつ書けたら、これに反応があったから」


「じゃあ、決まりだな」


「うん、僕も断定できると思う」


「星乃さんと東条君が見つけたのが二つ。一つは、給湯室の上にある棚の奥にある、通気口付近に落ちていたこの色のついた粉だよ」


「えっ! お前ら、あそこに入ったのかっ⁉」


 絵藤君が声を上げた。


「うん、だって調べないといけないじゃん?」


 夜空ちゃんがすぐに返す。


「まあ、それもそうだけど」


「あ、それと、もう一つは東雲君を給湯室に来るように仕向けた手紙だよ」


「定規で線を引くって、古典的だな」


「しょうがないと思いますよ。ここには、検証に強い研究者がいるんですから」


「指紋とかは付いてなかったけど、代わりに給湯室で見つけた粉と同じ成分の粒が付着してたよ」


「あそこには大量の砂糖が置かれていたし、砂糖ってことか?」


「そう考えるのが普通じゃない?」


 ……鉄に錆がついた糸に、凶器のダンベル。色のついた粉と、手紙か。


「証拠は、これで終わりだよ」


「この中で考えろってか」


「そんなの無理じゃない?」


「あっ! ねえ、みんな! この手紙って、一方的なラブコールと一緒なんじゃない⁉」


 華子さんがぴょんぴょんと跳ねながら言った。


「はあ?」


「ほら、アイドルがもらうファンレターも、ファンが手紙をくれたら返事を書くんだよね。だから、犯人も『来れば殺す』っていうスタンスだったんじゃない? 来なかったら、すぐに逃げたらバレないし。殺してないから、誰かに見つかっても誤魔化せると思う」


「はあ? そんなの出来すぎでしょ」


「おい、星乃! タブレットばっか見てないで、話に参加しろ――」


 その時、夜空ちゃんが声を上げた。


「あ、ごめんみんな。イブが望んでいるデスゲームの『議論の面白さ』を根底を覆して、開始五分で分かっちゃった。種明かしできるよ。それと、犯人も」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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