#31
「じゃ、次どこ行く?」
「駆君の部屋は?」
「え、でも、人の部屋に入るのって気が引けるなあ」
「もういないんだから、しょうがないよ。それに、最大多数の幸福のためには、証拠集めないといけないんだから」
「分かった」
駆君の部屋に入って、机や椅子など色々と調べた。
「あ、ベッドの下に手紙が入っていたり」
「いや、そんな分かりやすい所にはないと思うけど……」
夜空ちゃんはマットレスの下に手を入れて探していた。
「あ、あったよ」
「え、マジ……」
驚いている僕を尻目に、夜空ちゃんは便箋を取って読んでいた。
「へえ、見てみて。これ、駆君をおびき寄せるためのエサだよ」
「これも保管しておこう」
僕はビニール袋に入れて、部屋から出た。
「操作から一時間が経過しました。ただ今から、より強力な証拠を見つけるために、図書室の奥にある研究室を開放しました。氷室君が待っていますので、鑑定してほしいものがあれば渡してください」
「あの粉と、この便箋だね。指紋ついてるかもしれないし」
「うん。届けてくるね」
「あ、ちょっと待って。もし誰かにすれ違って、何を見つけたのか聞かれても誤魔化してね。証拠隠滅されるかも」
「分かった」
図書室に向かう途中、絵藤君と服部さんとすれ違った。
そう言えば、二人はペアになってたな。
「お前もなんか見つけたのか」
「うん。まあ、関係ないと思うけどね」
「まあ、色々持って行った方が良いんじゃね?」
「そうだね。じゃあね」
僕はそう言って図書室に入った。
図書室の奥の部屋は解放されていて、氷室君が座っていた。
「これお願い」
「分かった」
図書室から出ると、筆先さんと夜空ちゃんがいた。
「あれ、何でいるの?」
「氷室が鑑定係になったから、あたしは一人になったってわけ。そしたら、星乃ちゃんが来たの」
「ほら、何してるか気になって」
ああ、確かに。筆先さんが東雲君を殺した可能性だって十分ある。
夜空ちゃんが、それを監視するために動いたのかもしれない。
「筆先さんはどこにいたの?」
「トレーニングルーム。ほら、あいつってずっとそこで走ってたから」
「何か見つけた?」
「もう氷室に渡したけど、ダンベルを見つけた。しかも凶器確定のやつ」
「何でそう思ったの?」
「氷室が六階から薬を何個か持ってきて、ルミノールだっけ。血を見つける液を作って、そこにあるダンベルに全部吹きかけてたの。そしたら、一個だけ反応するダンベルが置かれてたから、それが凶器確定ってわけ。だって鈍器なんだろ?」
「なるほど」
筆先さんの言っていることに矛盾しているところは無いな。
最後まで読んでくださりありがとうございます。