#30
僕は夜空ちゃんと組むことになった。
「捜査方針も決まったところで、これをどうぞ」
突如現れたイブが渡したはタブレット、大小さまざまなビニール袋と、手に密着するタイプの手袋。
「これに、駆君の死因をまとめました。動かせない証拠はタブレットは写真を撮って、断罪の時にお使いください。手袋と袋は証拠品を入れてください」
「さ、俺たちはさっさと行こうぜ。人が死んだところなんか調べたくないし」
「そ、そうですね! 早く行きましょう」
みんなそう言って、給湯室から逃げて行った。
「……どうしたの?」
「あ、えっと、どこを調べようかなって……」
「考えなくてもいいと思うよ。調べるところは目の前にあるから」
「え、それって……」
「もちろん給湯室だよ」
普通に給湯室の中に入って行ってしまった。
と言っても、二人が入れるかくらいの狭いところなんだけれど。
「私ね、初めてここ見たときから砂糖が載っかってる棚の上が気になってたんだ。ほら、もしかしたら裏側にあるトレーニングルームに繋がっているかもよ? ほら、聖奈君。肩車して~」
「えぇ~」
「だって、私が聖奈君を肩車できないもん。ほらほら、早く~」
肩車して、棚の上を探していた。
「何か見つかった?」
「砂糖の入っていた袋の奥に通気口があったよ。それと、その通気口の周りに細かい粉が落ちてた。白と青と赤。まあ、粉は袋に入れておくよ」
細かい粉か。ここにあるのは砂糖だし、色が付いてる砂糖が少しくらい落ちていてもしょうがないのかも。
「あ、ここの様子も写真に撮っておこうっと」
「それ、後で見せて」
「うん」
僕は夜空ちゃんを肩から降ろして、粉と写真を確認した。
左右に上白糖の袋が二つずつ並べられていて、通気口の前に残り少ないマチがついてるタイプの袋のが置かれてる。
「ねえ、もし聖奈君がこの通気口の前に置かれている袋を文章で表現するとしたら、どうする?」
「えっと、そうだな……。『通気口を隠すかのように置かれている』かな」
最初に見た時、通気口に気づかなかったし。
「そういうこと。だから、犯人はこの棚にある通気口の存在を隠したかったのかも」
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