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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター3 諦めの絶望
53/69

#29

「おはよう」


 リビングには、東雲君以外のみんながいた。


「東雲さん、遅いですね」


「誰か見たのかしら?」


「俺は知らん」


「私も見てないです」


「……探した方がいいですよね」


「じゃあ、手分けして探しましょう。私は六階を探すわ」


「それは何で?」


「私は武道の心得があるからよ。もし、東雲さんが誰かを殺害するために待ち構えていたとして、あなたたちはきっと死ぬわよ。小回りの利く人だもの」


「じゃ、死にたくねーし、あんたに任せるわ。でも――お前が誰かを殺すために『毒物保管庫』に行く、とかじゃねーよな」


「私は殺すつもりはないわ。そうね……。私が死ぬとすれば、誰かに殺された時のみよ」


「疑ってもしょーがねえし、探そう」


 僕は、一階を探すことになった。

 といっても、パーティが終われば殺風景な部屋なんだ。


 置いてあるのは円形の机だけだし。


「やっぱり、いないか」


 そう思って、東雲君の良そうなトレーニングルームに向かうことにした。


「キャー!」


 二階にいる時、三階から味見沢さんの声が聞こえた。


「――何かあったんだ!」


 階段を駆け上がると、廊下の壁にもたれて震えている味見沢さんがいた。


「味見沢さん!」


「ああ、あ、あ、あれ……」


 震えた指が差したのは、給湯室の中で倒れている東雲君だった。


「おい! 大丈夫か⁉」


 みんなが集まり、絶句していた。


「本当に始まった」


「おい、誰だよ!」


 ――始まってしまった。


「はぁ~い。ゴホン! 死体が発見されました。一定の捜査時間後、一階の断罪室へお集まりください」


 重く、どんよりとした空気が流れ、黙った。


「えっと、僕が検死します」


 そうして、氷室君が遺体に近づいた。


「鈍器が頭に当たったことによる頭蓋骨の骨折が死因です。死亡推定時刻は、昨日の《夜時間》以降かと」


「凶器は?」


「そこまでは……。もっと詳しく調べてみないと分かりません」


「死んだ時間とその原因が分かりゃ、十分じゃね?」


「そうね。私もそう思うわ」


「で、次はどうするんだ?」


「仕切る人が必要ね」


「じゃあ、東条で」


「え、何で⁉」


「小説書いてるんなら、それぞれの適役くらい配置できるだろ。ほら、さっさと指示しろ」


「ああ、えっと……。じゃあ、二人一組になって捜査しよう」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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