#28
――目が覚めた。和泉の夢を見ると、いつも目が覚める。
「結局、和泉の『秘密』が何なのかは分からなかったけど、それでいいんだよね」
窓は塞がれているのに、そこを見てそうつぶやいてしまった。
「人間は希望しかできない生き物だ」と、僕は自身の小説の中に書いたことがある。
今、この絶望的な状況なのに希望を抱いているから、本当にそうなんだなと思う。
……久しぶりにログインしようかな。
「えっと……あ、あった」
リンクをクリックして、ログイン画面に映る。
僕が使っていた小説投稿サイト。デビューしてから忙しくて、全然こっちの作品を更新できてなかった。
僕がここで、実力をつけられたのは、僕がとある人にいろいろとアドバイスをもらっていたから。
その人のアドバイスは的確で、その通りに修正する度にいいものになってるって、実感できた。だから、すごく感謝してる。
久しぶりに書いた新しいエピソードを校閲した後に、投稿する。
トップページのランキングには、もう三ヶ月くらい投稿していなかったのに、僕の作品はまだ総合ランキング一位だった。
「これもあの人のおかげだなあ」
僕、実は何回か小説書くの辞めようと思った時がある。
でも、ある日その人は感想でこう書いた。
「一人のファンより、新しい一人の試す目を大切にして」って。
そのたった一人のファンを蔑ろにするわけじゃない。ずっとそのファンを離さないで、って。
それと、その「一人のファン」がその人なんだ。僕に初めてお気に入りをつけたのはその人だから、っていう意味らしい。だから、僕のはそのアドバイスの天才を離さないって決めた。
どんな人なのか全く分からないけれど、本を愛している人ってことだけは分かるから。
最後まで読んでくださりありがとうございます。