ゲーマーの星(2)
日本について、家に戻る途中、音楽が聴きたくなって、私はスマホを取り出して、ヘッドホンにつなげた。
「……」
お兄ちゃんどこにいるんだろう。車に乗って、新しい里親のところに向かったのは確実だけど、名前も変わっているかもしれないな。元の名前は星乃一月だけど、変わっているとするなら、見つけるのはもっと困難になる。
あの施設のスタッフは、いつも死んだ魚みたいな目だったな。きっとわがままな子供の対応で忙しいんだろうな。
曲がり角に差し掛かった時、黒い服の人にぶつかった。
「……」
顔を上げると、高校生が尻餅ついていた。
黒髪に青い瞳の子。綺麗な目。
……この子の目は、淀んでなくて、真っ直ぐで綺麗な目。
どこかで見たことあるような……?
「……前見てなかった。ごめん」
そう言って、私は手を出してた。
曲がり角で男子とぶつかる、っていう少女漫画的展開、本当に現実でもありえるんだなー。
「おっと、そこのお嬢さん」
ん? 声のする方向を見た。
そこには、不気味な笑顔で有名な「ガイ・フォークス」の仮面をつけた細身の人がいた。
「ほんの少しだけお眠りください」
そう言って近づいて、催眠スプレーのようなものを顔に吹きかけられた。
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