#23
「――聖奈君、聖奈君」
目が覚めると、僕の目には夜空ちゃんが写っていた。
「ここ……」
「屋上だよ」
「あれ、僕……。何で?」
「何か、急に倒れたらしいね。ここは涼しいから、絵藤君が運んでくれたんだよ」
「そうだったんだ」
「ん、どこかぶつけたりとかしてない?」
「大丈夫だよ。多分」
「そっか。なら良かった。ねえ、ここってどこなのか本当に分からないね」
立ち上がってみると、そこは樹海だった。
どこを見ても樹ばかり。ただ一つ分かるのは、ここは他に比べて高い位置にあること。どこかの山だろうか。
でも、ここから脱出できたとしても、迷ってしまうだろう。
最低でも、ここから降りるまでのコンパスと地図を見つけないと。
「お兄ちゃん探す時間が無くなっちゃうよ」
そう言いながら、柵に手をついてどこかをぼうっと見ていた。
「ねえ、前からずっと気になってたけど、お兄さんってどんな人?」
「んー、どんな人って言われても、四歳の頃の話だからなー。あんまり覚えてないや」
そう言いながら、服の下に隠していたネックレスを見せてくれた。
「このネックレスに見覚えがある人が、お兄ちゃんなんだ。これを作って、別れる直前に渡したのはお兄ちゃんだからね。ほら、もう帰ろう」
「うん」
最後まで読んでくださりありがとうございます。