#21 景山まふゆ&筆先雅&氷室一颯編
「景山、私のこと占ってみて」
「あ、じゃあ僕もことも」
「いいですよ。じゃあ、二人ともこのカードから一枚取ってください」
「ん、何だコレ」
「えっと、それは『吊るされた男』です」
「僕のは、死神だね」
「そのカードを見て、パッと何を思いますか?」
「白い花は生と死の神秘を暗示してるって言われてるから『犠牲』かな」
「真っ逆さまのままで足を縛られているし、真後ろには炎が見えるし。『終わり』かな」
「うんうん。えっと、筆先さんに『終わり』が訪れます。その終わりがどんな終わりかはわかりませんが」
「終わりねえ。でも、それが悲しくても嬉しくても、退屈するよりはましだな。あんがと」
「あ、でも、占いで出た運命は変えることはできません。もし、どれだけ苦しい『犠牲』や『終わり』が来ても、諦めないといけないんだ」
「筆先雅に未来なんかありませ~ん。でも『終わり』って何だろ。どっかに財布落として、無一文になるとか? 好きな雑誌が廃刊になるとか?」
「僕も大丈夫だって。誰かが生きる犠牲なら、喜んで受け入れるよ」
「……残酷な未来が訪れませんように」
彼らの近くで三人の話を聴いていた。いや、盗み聞きしていたんだ。どうしても気になっちゃって。
残酷な未来なんて、絶対に誰にも来ない。
だって、みんな裏切るようなことしないよ……。何て、本当は言えないんだけれど。
「おい、東条。東条!」
「え、どうしたの。絵藤君」
「お前に頼みがあるんだけど」
……は、はあ……?
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