#17
料理も絶品だった。
風早さんと筆先さんはずっと甘いものを食べていた。
「イブ、その服って自分で作ってんの?」
「違いますよ~。イブをつくった《せんせい》が縫ってくれたんですよ。最初は鉄で服も作ろうかと思ったのか、研究室にはたくさんの服のデザイン画が遺されていました。でも、鉄は重いですし、布の方が動きやすいので、こうなったらしいですね」
「その《せんせい》って?」
「この施設を作った人ですよ。イブもつくってくれました。《せんせい》はイブを所詮はただのロボットだと思って、いくらラブコールしてもな~んにも返してくれませんでしたけどね! でも、イブはずっと《せんせい》のこと大好きですよ」
「イブをつくった人、まともな人じゃなさそうだね」
「そうですね~。カエルとかメダカとか、いろんな動物を解剖して、図案化して、ロボットにしていましたね。私もその手伝いしてましたよ~。プニプニの皮膚にプスッとナイフを刺す感覚、たまりませんでした」
「お前はれっきとしたサイコだな」
「そうですね~。わたしもそう思います。でも、治すほどのことでもありませんし、そういう内に秘めているものなんて治りませんからね。みんなも今はいい顔してますけど、一週間くらいしたら誰か死んでいるかもしれませんよ!」
その時、イブの笑い声が響くとともに、みんなシーンとした。
「ブラック・ジョークですってぇ~。そんなにビビってたら、ロボットに笑われますよぉ~」
「そ、そうだよな。まさか、ここから出たいからって、人を殺すような奴いないよな」
「そうですよ! まだ皆さんのことも知らないのに、殺すなんて……」
みんなが同調して、また固まった。
「そうなるといいですね! では、引き続き楽しんでください」
「……私、着替えて屋上行って来る。じゃあね」
夜空ちゃんは走って階段を上がって行った。
僕はみんなと話そうかな。
最後まで読んでくださりありがとうございます。