ゲーマーの星(1)
「勝者は『Milky Way』です!」
「イエーイ! 一億ずつね」
「ちゃっかりしてんな」
インタビュー後、すぐに支度して明日の夕方くらいには日本に着く。
「ん~、つか~れた!」
「全戦圧勝! やっぱ俺たち最強だな!」
「あんなにビビってたのに~?」
「うるさいっ!」
……そう言えば、三人が初めてチームを組んでから、一回も負けたことないなあ。
「で、お前の兄ちゃんはいたのか?」
「ううん。いなかった」
「やっぱり、誰かに依頼したら?」
「ううん、それじゃ意味ない。このコインがちゃんとつないでくれるはず」
「まあ、お前の兄ちゃんだし、お前が決めていいけどよ」
「帰る準備しよう」
「と言っても、私はゲーム機と、スマホしか持ってないんだよね。あ、あとこのヘッドホン」
「いや、それだけが珍しいだけ」
「まあね」
そう言いながら、ゲーム機をケースにしまった。
「それに、お前はもう帰るんだろ?」
「うん。二人は観光でしょ? お父さんとお母さんによろしく言っといて」
「普通は娘が言うもんだけどな」
「じゃあね!」
無理やり話を切って、待合室から出た。
飛行機に遅れたら取り返しがつかない!
幸い、私って意外と足速いんだよね。ずっと椅子に座りっぱなしなんだけど。
「間に合った間に合った」
私は飛行機に乗って、アメリカから出発した。
「あー、ねみー」
そう思って、私は眠りについた。
「夜空、後ろ向け。それと、目を閉じとけ」
「うん」
「見ていいぞ」
視線を落とすと、首に金色のネックレスがついていた。月のモチーフが描かれているコイン。
「いいか、夜空。お前と俺がまた会うまで、このコインは絶対に無くすなよ。ほら、俺も同じの持ってるから。これが俺とお前をつなぐものだ」
「どういうこと?」
「ほら、一月君。こっちにいらっしゃい」
「はい」
そう言って、お兄ちゃんは私から離れた。その瞬間、お兄ちゃんがどこかに行ってしまう、って分
かったんだ。
だから、私はすぐにお兄ちゃんが乗ろうとしている車に駆け寄った。
「待って! 待って、お兄ちゃん!」
「ダメよ、夜空ちゃん!」
そう言って、大人の女性が私の手首をつかんだ。
「お兄ちゃん!」
その瞬間、目が覚めた。
「あ……」
私の首には、コインが一枚ぶら下がっている。お兄ちゃんの存在を忘れないように、寝るとき以外は学校にもカバンにつけて通っていた。
そして、あれ以降、私は手首をつかまれるのが怖くなった。
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