#13
図書室から出ると、廊下の壁にもたれて、金髪の子が座っていた。
今度はヘッドホンをかけている。
「あ……。お前らそういやいたっけ。あ、お前、フード取ったら美人じゃん。そのままの方がよくね?」
「私もそう思うよ。でも、顔出したまま外歩けば、絶対知らない男の人に声かけられるからね」
「それはそれですごいと思うけど、お前からしちゃただの迷惑か。って、名前言ってなかったな。音寧伊織。“指揮者の星”だ」
「指揮者ってことは、音楽できるよね。何で音楽?」
「俺の親が音楽系の世界の人だから。まあ、俺からすれば女の子と遊ぶための道具でしかないけど。そのために、楽器は一通りできるようになったし。楽器できるヤツってモテるじゃん? ギターとかベースとか」
「暇なんだね」
「親曰く、俺は器用だからいっつも暇なんだと」
「じゃあ、何で耳隠してんの? そのヘッドホン、頭にかけてるだけでしょ?」
「俺耳がいいから、普通の奴よりも音が大きく聞こえんの。それがうるさいから、こうやってしてるんだけど、大して意味はない」
「ふうん。そういうの持ってる人って、生活も大変って聞くけど」
「いや、そうでもねえよ。そういう人は俺よりも、もっと部分的な能力だと思う。じゃ、俺はもう違う男と仲いい子には手を出さないから」
そう言って、フラフラとどこかに行った。
「えっと、ってことは、付き合ってる女の子とかは引き抜かないんだね。良かった、安心したかも。誰彼構わず、話しかけてるわけじゃないんだ」
「これで、全員だね」
「うん、そうだね~。ねえ、部屋に戻ろう」
そう言って、僕の腕に全体重をかけてきた。
「うわっ!」
「やっぱりからかい甲斐あるなあ。全部予想通りで面白い」
「そこ褒められても……。あの、それより、早くどけて」
「ごめんごめん」
その時、廊下にある大きなモニターにイブが写った。
「はぁ~い、施設のいたるところで探索しているみなさぁ~ん。殺すためには情報収集! ということで、今日の夕食の時間、一階のホールに集まってください。パーティしましょう! 休みに着く暇が無くて申し訳ないですが、トマトちゃんはパーティで使う料理をお願いします」
「イブ、また何かするつもりだね」
「うん……。行こう」
僕の部屋に戻るとき、何か話している絵藤君と東雲君がいた。
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