#12
「アメリカに住んでるんでしょ?」
「うん。お母さんたちも向こうにいるからね」
「アメリカの食文化ってどんな感じ?」
「とにかく量が多いって感じ。でも、味はいいし、構わないけど。そもそも、食事の時間忘れてゲームするから、食べないことも多いけどね」
その後も食べ終わるまで、ずっと二人の話を聞いていたんだけど、眠くなってきてそのまま寝ちゃった。
「いいなあ、日本は窮屈すぎるんだよねぇ。なんか、感情持ってるロボットって感じ」
「そうだね。日本とアメリカじゃ、考え方も全然違うよ。でも、日本のアニメとかマンガを好きな人は、アメリカにもたくさんいる。文化も違うのに、そう思うのは不思議だなって思う。ごちそうさま、おいしかったよ」
「お粗末さまでした~。教えてくれてありがとね」
「うん、。あ、それと茶髪のボブの子とか、どこにいるか知ってる?」
「ああ、文のことか。図書室にいるんじゃね? アタシが会った時もそこだったし」
「図書室か。分かった。聖奈君、起きて起きて」
「ん~、食べ終わったんだ」
「うん、図書室にまだ話してない子がいるかも、らしいよ」
「分かった」
僕は目をこすって、立ち上がった。
図書室は、学校のよりもずっと広くて、蔵書もたくさんある。
「いたいた。ボブカットちゃん」
椅子に座って、熱心に百科事典を読んでいる茶髪の子がいた。
「……そう言えば、お二人の名前を聞いておりませんでしたね。私は吉野文と言います。都内の図書館で司書として働いている“司書の星”です」
「司書って、大変って聞くね」
「そうですね。しかも忙しいわりに薄給ですから」
受け答えはどことなく冷たくて、淡々としてる。あんまり話すのが好きじゃないのかな。
「私から話すことはもうありません。話したければ、そこにいる三人にどうぞ」
「あ、うん」
「じゃ、文ちゃんの邪魔にならないようにしよ~う。ねえねえ、そこの三人」
「ああ、お前らか。普通なのと、無駄に美人なの」
「ふ、普通って……」
「んで、名前か。俺は明智碧葉。“モデルの星”だ」
「あ、僕は景山まふゆです。タロットカード専門の“占い師の星”です。他もいろいろできるんですけど、一番当たるのはタロットカードです」
「僕は氷室一颯です。スイスの父と一緒にウィルスの研究をしてる“研究者の星”です。まあ、僕より父の方がずっとすごいんだけどね……」
「そんなことないだろ。一颯もすごいと思うよ」
「ん、僕もそう思うよ」
「で、みんなは漫画を読んでたんだね」
「普段は小説しか読まないから、久しぶりにな」
「僕は漫画しか読みませんね。小説みたいな文字が多いのは、どうしてもお経に見えちゃって……」
「お経?」
「はい。僕の家系は住職の家系なんです。お経を読むことも多かったみたいです。僕も小さい頃から聞いていましたから」
最後まで読んでくださりありがとうございます。