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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター2 始まるわけのない絶望
32/69

#9

「あれ、お前たちも何かするのか?」


挿絵(By みてみん)


 スケッチブックとシャーペンを持って、座っている子が言った。

 両目の色がちょっと違う。綺麗な目……。


「え、あ、違うよ。みんなの名前知りたくて、探してるだけ」


「ふうん。で、あの紫髪はそこのアーケードゲームに興味津々だけど」


「え⁉」


 僕の後ろにいた夜空ちゃんは、気づかないうちに部屋の隅に置かれていた筐体をじっと見ていた。


「ガチのゲーマーなのな」


「そうらしいね」


「で、俺の名前だろ。俺の名前は絵藤彩斗(えとう あやと)。イラスト描いてる」


 僕の名前を言った時、シャーペンを落として慌てて拾った。


「あ!」


 その時、スケッチブックが落ちてしまった。


「……これって、夜空ちゃん?」


「呼んだ?」


 アーケードゲームに夢中だった夜空ちゃんが戻ってきた。

 拾ったスケッチブックには、夜空ちゃんに似てるロングの子がびっしり描かれていた。


 それも、色んな季節の服着てる。


「あ、彩斗君。私、星乃夜空。私に似てるけど、私じゃないね」


「当たり前だ! だって、お前を描いたんじゃないから」


「ふうん。じゃあ、理想の子とか?」


「それも違う。こいつは俺が忘れないために描いてるの。つまり、適当にそれっぽい属性入れてるわけじゃない。本当にいた奴。分かった? まあ、確かに。お前!」


 そう言って、勢いよく立ち上がって夜空ちゃんの目の前に立った。


「お前はアイツに似てる。『アイツが生まれ変わったんじゃないか?』ってくらい。俺が言えることはそれだけ。ほら、もう行った行った!」


 両手で押されて、さっきからずっとランニングマシーンで走ってるこの前に来た。


「ん? お、新しいヤツか! 俺は、東雲駆(しののめ かける)。あ、名前の通り、サッカー選手! 大抵は知ってるぜ」

「あれ、でも遠征のために海外へ、ってニュース見たけど」


「ああ、そのことなんだけど」


挿絵(By みてみん)


「遠征先でデカい地震が起こったみたいで、緊急で帰って来たんだ。俺って忘れっぽいから、そんなことすっかり忘れてたんだ。そんで、ここで走ったら思い出した」


「じゃあ、駆君にとっては走ることが記憶を探るためのトリガー……」


「難しいことは分からんけど、そういうことだな!」


「でも、世界的に有名な選手に比べたら、小柄だよね」


 僕がそう言うと、胸をドンと叩いて見せた。


「そうだな! 選手どころか、俺のクラスの女子よりも小柄だぜ。でも、身長っていうハンデは、そいつの実力があればなくなると思ってる! だから、俺はそこまで上り詰めるから、今は確かに大変だけどもっと強くなったら、身長なんて関係なくなるぜ」


「そうなんだ。頑張ってね」


「もちろん! じゃあな~」


「スポーツマンの熱血! って感じだね」


「うん」


 二人で並んで話していると、給湯室からシアン色の髪の子が出てきた。手にはミルクティーの入ったグラスを持ってる。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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