#7
「じゃあね」
僕も外に出ようかな。
「あ、ねえねえそこの黒髪君! 名前教えて~」
日本人だから、ほとんどの人は黒に近い色じゃないかな? と思いながら、声の聞こえる方向を向いた。
そこには、さっき朝食を作ってくれた子が立っていた。
「東条聖奈だよ。“作家の星”って言われてるよ、世間では」
「トマトは味見沢トマトだよ。さっきも言ったけど“コックの星”だよ。よろしくね!」
初めてまともに話すけど、距離が近いな。
でも、別にいっか。
「うん、よろしく」
「じゃあね~」
そう言って、走りだした。
「さっき危ないといったのに、もう走ってるわ」
「えっと……?」
「服部冷よ。よろしく」
「よろしく……」
大和撫子って感じする子だ。
「……何かしら? 顔に何かついてる?」
「え⁉ あ、ごめん、何でもない!」
そう言って、逃げるようとした時、クスッと笑ってこう言った。
「走ると危ないわよ」
「何で走るって分かったの?」
「さあ? 何でかしら」
そう言って、颯爽を歩き、どこかに行ってしまった。
感情が読めない人だ。でも、今笑ったところを見る限り、感情を隠しているだけのような気もするけど。
「あ、聖奈君! まだここにいたんだ」
「うん。でも、それってそんなに驚くこと」
「いや、でも、こういうデスゲームでは『普通でどこにでもいるありきたりな主人公』が、動いて話が進むからね。ゲームの中では」
「で、その『普通でどこにでもいるありきたりな主人公』が僕……」
「そういうこと」
反論もできないが、ちょっと凹んだ。
「みんなの名前まだ知らないでしょ? 一緒に行こう~。私、一人嫌いだから」
「え、でも実況する人は一人でしょ?」
「でも……。って、ほらほら引きこもりの話なんて聞いてないで、みんなを探そ」
あーあ、ごまかされちゃった。
「で、誰と話したの?」
「味見沢さんと、服部さん」
「あ、私も一緒!」
最後まで読んでくださりありがとうございます。