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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター2 始まるわけのない絶望
29/69

#6

 食べ終わると、味見沢さんが提案した。


「トマト、朝早く起きちゃうから歩き回っていたんだ。一番上から、最初に集められた一階まで。ここって色んな施設があるみたい」


「それ、全部教えて。ヘタに動き回るよりも、情報を持ってる子から情報は聴いといた方が良いよ」


「うん、分かった。屋上にはプールとか。最上階の六階には『毒物取扱保管室』と『毒物保管室』と『凶器保管室』があったよ。五階には図書室。四階にはトレーニング室と給湯室があって、向かい合わせになってるみたい。三階はここで、みんなの部屋とリビング。二階は最初に夜空ちゃんがいた部屋。で、一階はトマトたちが集まったところなんだけど。一階は『断罪室』に変わってて、話し合うための円形の小さなテーブルがあったよ。立ちっぱなしで話すみたいで、そのテーブルの上にタブレットが置かれてた。その時にイブが現れて、そのタブレットで処刑する人を投票して決めるみたい」


 本当に漫画の中のデスゲーム会場みたいな施設なんだな。


「ふうん。まあ、ここの探索よりも、まずはみんなの名前くらいは知らないとね」


「それならいい方法があるわよ」


 ちょうどその時、イブが現れた。昨日とは違うドレスを着ている。


「このバングルを使って『キズナ』を集めるの。より多くの人とコミュニケーションをするだけで、キズナは集まるわ。そしてキズナを集めるための第一歩が自己紹介」


 そう言いながら、イブはみんなにバングルを配り、付け方を説明した。


「ああ、それ一回つけると外せないわよ。でも、完全防水だし、心配しなくていいわ」


「じゃあ、解散ね」


 部屋に戻ると、誰かが部屋をノックした。

 ドアを開けると、パーカのフードを被っている星乃さんがいた。


「君、東条聖奈だよね」


 ドアを開けた瞬間そう言って、ニコッと笑った。


「え、覚えてたの⁉」


「うん、言ったでしょ? 目に入る情報全てを覚えちゃうって」


「でも、僕はごく普通だから、てっきり忘れたかと」


「ううん。私が忘れたのは、私に関心を持っていた人だけだよ。君とは話したことないから、覚えてるんだ」


「そうだったんだ」


「君も私のこと覚えてるでしょ?」


「うん、星乃夜空さんだよね」


「さん付けじゃなくていいよ。アメリカではさん付けで呼ばれたことないから、いざってときに反応できないかも」


「じゃあ、何て呼ばれてたの?」


「えっと、みんな呼び捨て。『夜空』か……あとは『空』って呼んでた。あだ名だね。だから、呼び捨てでいいよ。逆に私って、さんもちゃんも付けられたことないかも」


「じゃあ、夜空でいいの? あ、僕も呼び捨ては慣れてないから、夜空ちゃんでいい?」


「うん、いいよ。にしても、初対面で呼び捨てなんてザラにあったけど、日本じゃそんなことないよね。そんなに親しみやすいのかな、私」


「まあ、そうだと思うよ」


「そうなんだ。こういうのって、分かんないんだよね。あんまり人が好きじゃないから」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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