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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター2 始まるわけのない絶望
25/69

#2

「死んだ?」


 シアン色の髪少女がそう言った。みんなモニターの少女に注目している。

 その時、少女が立ち上がった。


「お見事です。アナタは死にませんでしたね」


「うん。そこのビームが目標として認識するのは、()()()()だけだもんね」


「なるほどね」


 確かに、モニターが例として示したあの映像も、実際に風船が撃たれた時も、全部目標は動いていた。彼女はそれを分かっていたのか。


「それでは、待機している皆様。そちらのドアの中へ進んでください」


 あ、あの青いドアか。


「未来、行こう」


「あ、ちょっと待って!」


 よく似た少女たちが走って中に入った。


「行った方がいいですよね」


「いや、行かなきゃダメでしょ」


 そう言って、みんなゾロゾロと入って行った。

 ただ一人、茶髪の少女はそこに座っていた。


「君は行かないの?」


「行きます」


 そう言って、ゆっくり歩き始めていた。微かに手が震えていた。

 きっと怖いんだろうな。


 僕も彼女の後ろについて行った。

 青いドアの向こう側は短くて、一分くらい歩くとつながった部屋に着いた。


 そこは、さっきまでビームが発射されていた部屋だった。その証拠に、電気椅子とちぎれた風船、それにモニターに映っていた彼女が電気椅子の目の前に立っていた。椅子の背もたれ側に僕たちがいるから、気づいてないみたい。


「あんた、よく生きれたね」


 オレンジ髪のギャルのような少女が言った。その声に反応に、フードを外しながらこちらに来た。手には、モニターで見た


「デスゲームって、確定の死にゲーじゃないからね。それと、ほらこっち来て」


 パーカのポケットに手を突っ込んで、歩き始めた。


「ほら、あそこ。みんなが来る前、適当に歩いてたら探したんだ」


 ピエロのヌイグルミが、丸いアンティーク調のテーブルに置かれていた。


「あれって、中に人工知能が入ってるみたい」


「その通りです」


「うわ!」


「ほらね」


「アナタ方には、これからデスゲームを行っていただきます」


 は?


「この施設は閉鎖されています。ここから脱出するには、誰かを殺し、その後の“断罪”と言われる話し合いで生き残ってください」


 座り込む人や考え込む人もいる中、パーカの少女だけは眠そうにあくびをしていた。


「驚かないの?」


「これくらいでは」


 これくらいって……。死ぬかもしれないのに?


「それに、知らない所に監禁されてデスゲームって、普通というか、ありきたりというか、面白みがないというか」


「素晴らしい! アナタの瞳を見せてください! お願いだ、アナタのような瞳は見たことがない。この宣告をされてなお、驚きもせず、泣くこともせず、ただ普通のことだと言い放った。初めてのケースだ!」


「私の目、か。ま、それくらいならいいよ」


 そう言って、ヌイグルミの前に立った。


「ああ、綺麗な瞳だ。これこそが至高の瞳!」


「何だ? あのAI。気持ち悪い」


「アナタの瞳を見れただけで満足だ。アナタに選択肢を二つ与えます。このままデスゲームを続けるか、アナタだけここに残って、他の皆様を開放するか。さあ、選んで!」


「つまり、私はどっちにしろここに残るんだよね。じゃあ、みんなを開放していいよ」


 究極な選択肢を少しも考えずに選んだ。


「――誰か来るわよ」


 セーラー服の少女が言った。

 また緊迫した雰囲気になり、僕は倒れそうだった。


「ご名答」


 現れたのは女性だった。裾が広がったワンピースに色のリボンが編み込まれたコルセットをつけている。でも、僕たちと違うのは関節部分が全て球体であること。


「夜空ちゃん、そこから逃げて」


「待って! や、やめてくれ、やめろ!」


 彼女が離れると、女性は持っていたボタンを押して、ヌイグルミを爆発させた。


「デスゲームは続行よ。さっきの発言は、ヌイグルミに入れたAIの暴走だから」


 その発言にみんなは落胆した。


「……ねえねえ、何であのヌイグルミは私の瞳に興味を持ったの?」


「瞳を採集している連続殺人鬼の人格を組み込んだの。まあ、ゲームの中のキャラクターだから、この世にいるかは知らないけれど」


「ふうん」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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