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星が降る夜、一つ学園の中に閉じ込められて  作者: アーヤ
チャプター2 始まるわけのない絶望
24/69

#1

 目が覚めると、僕は知らない教室にいたんだ。

 何でここに居るのか必死に思い出そうとしたけど、僕が覚えているのは、魔女みたいな人が僕にスプレーを吹きかけたところまでだった。


「とにかくここを出ないと」


 教室を出ると、そこは廊下で、テーマパークの順路みたいに、赤い矢印の看板が色んなところに置かれていた。


「これをたどれってことなのかな」


 そう思って、歩き始める。その時、ぼんやりとしていた頭もはっきりとしてきて、ここの異様さがよく分かった。窓があったと思われるところは鉄板が打ち付けられていて、薄暗い。


 ああ、怖い。どこに行くんだろう。自分から「死」に近づいているみたいだ。

 そう思うと足がすくんで動けなくなる。


 だから、とにかく何も考えないことにした。

 今は誰かと会わないといけない。


 歩き続けていると、次第に明るいところが見えた。


「誰かいるかもしれない……!」


 初めて経験する期待に胸を膨らませて、ドアを開けた。


「……あ」


 多くの人と目が合う。みんな困っているような顔つきだ。

 でも、ただ一人壁にもたれたまま、何かを考えている長いスカートのセーラー服の少女もいた。


「お前、誰か見たか?」


 金髪にヘッドホンをかけている身長の高い男子が言った。


「え? いや、誰も」


「全員かな」


「さあね」


 よく似た少女たちは、くすくすと笑いながら話している。

 誰かに話しかける勇気もなかったから、ここをよく観察することにした。


 丸くて、すごく広い。広さで言えば、学校の体育館くらいかな。

 そして、一際目を引くのは中央から吊り下げられている大きなモニターだった。

 鎖でつながっているけれど、落ちないのかな。


「ゼンイン ソロッタミタイデスネ」


 モニターにピエロのヌイグルミが映って、機械的な声が聞こえた。でも、少しだけ男性っぽい。


「ひぃ!」


 三つ編みの少女は驚く。


「突然ですが、皆様には殺し合いをしていただきます。ですが、まずはレクリエーションとして。軽いデスゲームをご覧ください」


 みんな状況が呑み込めなくて、黙ってモニターを見つめていた。

 僕もそうだった。


 モニターに、電気椅子のような鉄で出来た椅子に拘束されている人が映った。パーカのフードで隠れて見えないけど、体つきからして、僕たちと同じくらいの女の子みたいだ。彼女がいる部屋も、今僕がいるところに似ている。


「それでは、拘束を解いて」


 両手がだらんと垂れ下がる。


「起きろ」


 あの声で、少女は立ち上がった。


「彼女のいる部屋には、天井から十丁のビーム発射装置が設置されています。目標の動きを正確にとらえて、分析し、急所を狙ってビームを発射します。例えば……」


 風船が落ちてきて、それを一番近くの装置が撃ち抜いた。


「このようになります。そこで、少し前実験として……」


 次に流れたのは、十数名の男女が少女のいる部屋にいる映像。近くにあった観葉植物がビームで撃たれると、彼らは慌てふためいて、逃げた。しかし、ビームが正確に心臓を撃ち抜いて、みんな動かなくなった。


「このように、もちろん人間も目標としてインプットされています。そして、本題です。そこにいるあなた。絶対に死なないでくださいね」


「うん、分かった。でも、一つ質問。反動で動いた場合は、どうなるの?」


「それは目標として認定されません。実験でも実証済みです」


「……分かった。これに座ったら始めていいよ」


 そう言って、彼女はまた電気椅子に座った。


「では、始めます」


 その瞬間、銃口が彼女に向いた。

 そして、青いビームが一斉に彼女の心臓めがけて直線に進んだ。


「怖いなら、見ない方が良いわよ」


 セーラー服の少女が、茶髪の少女に言った。


 十分ほどビームが当たったままだった。彼女は全く動かない。

 本当に生きてるのだろうか。それとも……。


「終わりです」

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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