コックの星(2)
「ごちそうさま」
「あ、トマトちゃん。パパにお弁当を持って行ってくれないかしら? 私、明日使うレシピのメモを完成したいの」
「うん、分かった」
トマトの家の隣に、お父さんが毎日働いている会社があるんだ。
「じゃあ、行ってきま~す」
外に出ると、冷たい風が手に当たった。
「ひぇ~、さむ~い」
寒いから、早く行こうっと。
そう思って、走って会社の中に入った。
「トマトさん、こんにちは」
「こんにちは~。あの、パパって今どこにいますか?」
「社長室にいらっしゃいます」
「ありがとうございます!」
エレベーターを使って、最上階の社長室に向かった。
「パパ、お弁当だよ」
「おぉ、ありがとう」
「入るね?」
部屋に入ると、たくさんの書類が積まれていた。
「はい、お父さん」
「ありがとう」
「これ、全部はんこ押すの?」
「日本はまだスタンプレスじゃないからね。アメリカとかは、サインで済むのに。こういう所は日本はいつも遅いのさ。新しいことを受けいられないんだろうね」
「そうなんだ。じゃあ、頑張ってね」
そう言って、部屋から出た。
「もうお帰りになられるのですか?」
「うん、お弁当を渡すだけだから」
「そうですか」
外に出ると、雪が降っていた。
「――お嬢さん、落としましたよ」
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