写真家の星(1)
今日は日曜日。今日も写真と取りに行こうかな。
そう思って、私は眼鏡をかけ、鏡を見ながら髪を梳いて、三つ編みにして、リボンで結んだ。
そう言えば、この髪型って小さい頃からしているから、すっかりうねっちゃってるけど、子供っぽいかも。
美人な人は何してもかわいいけど、私は地味だから、身なりにはかなり気を付けてるんだけど。
うーん、でもここで考えていてもダメだ。
いきなりポニーテールは勇気いるから、三つ編みはやめて、普通のツインテールにしてみようか。
初音ミクみたいな高いのは無理だけど、耳より下のツインテールなら、何とか……。
そう思って、リボンを解いて結んでみた。
「うわ、思ったより同じところで結ぶの難しい……」
十分くらい悪戦苦闘して、やっと綺麗に結べた。
「やっぱり無駄な冒険しなかった方が良かったかも」
そう思いながら私服に着替えて、下に降りた。
もちろん、財布と、いつも使っている一眼レフも持って行って。
「おはよう、虚。また写真撮るの?」
「うん、それと現像も」
「そう。まあ、写真が好きなんだから別に構わないけれどね」
「じゃあ、行ってきます」
今日は何を撮ろうかな。雲が無くて、澄んだ空。あとは、道行く人に食パンの耳とかフルーツとか色々もらって、ちょっと太ったネコ。近くの土手で見つけた四葉のクローバー。
そう思っていると、最近できたパン屋から、出来立ての香ばしいパンのにおいがした。ここの焼きそばパンは学校がある日にいつも買ってるけど、すごくおいしい。でも、経営してるのは私よりも少し上くらいの若い女性だけみたい。自分だけで経営してるから、人件費とかがかからなくて、安く済むらしい。
チリンチリン
「あ! 虚ちゃん、いらっしゃい」
「焼きそばパン一つ下さい」
「OK! どうぞ」
私は二百円出して、七十円のお釣りをもらった。
「ありがとうございました! また来てね」
そう言って、彼女は小さく手を振った。
最後まで読んでくださりありがとうございます。