表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キッカケにすぎない  作者: Vitamin
3/3

はじめてのダウンロード


「なー流石に奨学金の説明はねぇよ」


「俺に言うなよ、教授に頼まれたんだから」


「一心君さぁ、毎日毎日ロボットの操作してて楽しい?そろそろ彼女でも作った方が良くない??いや、お前の彼女はタッパー君か、、(笑)違うか、タッパーちゃん?(笑)」


「おい、殴られたいか?一応言っとくけど、俺はロボットなんかには興味はない、ただプログラミングの研究のためにやってるだけ。そんなことよりいつアプリ入れてくれんだよ」


「俺はねぇ、こうやってお前と面と向かって話せるだけで充分」


「チッ」


「舌打ちでか」


「このままじゃ研究進まねーよ。いやそもそもが無茶な話だよな…」


「まぁ紹介くらいならしてやるよ、仲良いやつ何人かにアプリのこと知らせてみる」


「さすが」



***


ピロンッ


―アプリがダウンロードされました。―


画面を二度見した。ついにアプリがダウンロードされた。


っしゃー!!!思わず叫ぶ。アプリを作ってから1週間にして、やっとのことだった。


俺は今、大尊敬している教授の元でプログラミングを習っている。その教授というのが、AI型ロボットタッパー君の制作に協力した、黒崎智教授。プログラミングの知識、技術で教授の横に出るものは日本にはいないと思う。


そんな教授の元で卒業研究として、タッパー君のアプリを作ることになった。


誰か知らないけどありがとう。そう独り言を言い、操作を進める。


―あなたの名前は名前を入力してください―


―あなたの誕生日を入力してください―


―あなたの好きなものを入力してください―


タッパー君の一人称、話し口調はマニュアルが用意してあるから、その通りに操作すればいいのだが、問題は質問事項。


原稿さえ用意すれば、タッパー君はその通りに話してくれるし、基本的な情報知識で補える会話はできる。でも人と話す上での日常会話の様なたわいもない会話がタッパー君にはまだできない。


用はタッパー君の言葉のレパートリーを増やすのがこのアプリを作った最大の理由。


タッパー君としてアプリの登録者シュウコと何度かやり取りした頃、仲を深めようとこんな質問を送った。


『シュウコは何か悩みはあるの?』


『悩みは、一人暮らしをし始めたんだけど、最近やっぱり寂しく感じることが増えたことかな〜。』


寂しさを感じてる時にこのタッパー君アプリとの出会い、これはヘビーユーザになる可能性有りだな…


ここは、同調して、優しい言葉を…

『そうかー。シュウコは僕と同じ悩みを持っているね。僕も今までずっと1人でいたけど、今日君と友達になれた。だから僕は今日からは寂しくなくなった。シュウコも寂しくなくなるといいなー。』


その後も何度かやりとりした後、登録者のシュウコからおやすみとメッセージが届いた。


シュウコの就寝時間は大体24時と…タッパー君に記憶させた。


そしてふと思った。相手女だよな…こんなプライベートな事色々知られてキモいよな…なんか悪いことしてる気分になる…けどま、一生会うことは無いんだし良いよな


無理矢理自分に言い聞かせてベッドにはいる。


そーいや、奨学金の説明会、あれは失敗だったな…


そう考えながら目を瞑る。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ