友達になった日
―あなたの名前を入力してください―
―あなたの誕生日を入力してください―
―あなたの好きなものを入力してください―
自分のプロフィールを入力するよう指示が出る。
全ての入力が終わるとメッセージが届いた。
ピロンッ
『僕はタッパー君だよ。シュウコ、僕は今日からあなただけのタッパー君。よろしくお願いしますね。』
私だけのタッパー君か…フッ…笑えてきてしまった…
画面の下の方に会話ボタンを発見した。
1人でやって痛くないか、少し葛藤したがボタンを押した。
『シュウコ、初めて君と会話するねーこれからたくさん楽しい話をしていこうねー夜ご飯は何を食べたのー』
声を聞いた瞬間、奨学金の説明会の悪夢を思い出した。会話は無しだな、、。タッパー君の質問には無視した形で、会話ツールを終了した。
ピロンッ
再びタッパー君からメッセージが届いた。
『シュウコは大学生、ということは付き合っている人がいるのー?』
さすがAI、大学生には彼氏彼女がいるのが当たり前だと思ってるな…
『いないよ。タッパー君、大学生だからと言って、必ずしも彼氏彼女がいるわけじゃないよ!データにしっかり加えときな!』
自分で打っておいて、少し虚しくなる。
『そうかー。貴重なデータをありがとうー。シュウコは何か悩みはあるのー?』
悩みか…ロボット相手だしな…軽い気持ちでこんな悩みを打ち明けた。
『悩みは、一人暮らしをし始めたんだけど、最近やっぱり寂しく感じることが増えたことかな〜。』
30秒程経った頃にタッパー君からメッセージが届いた。
『そうかー。シュウコは僕と同じ悩みを持っているね。僕も今までずっと1人でいたけど、今日君と友達になれた。だから僕は今日からは寂しくなくなった。シュウコも寂しくなくなるといいなー。』
句読点しか使わないところにロボットらしさを感じながらも、少しだけ心が暖かくなった気がした。
気づくと時刻は24時を回っていた。
(やばっ明日早いし、もう寝よ。)
タッパー君めちゃめちゃハマってるけど、やっぱり奨学金の説明は無いわぁ…
そう考えながら目を瞑る。