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新たな能力

全然進まなかった…

時間ができたらまた手を加えるかもしれません。

シカを狩った日から2日ほどたった。


この2日間の間に、俺は自分が有している新しい能力に気付くことができた。


というのも、初日以来開いていいなかったマップ機能を表示すると、マップの横に、自分の装備を確認できる画面が表示されていた。


その画面から装備を脱着すると着ていた装備が瞬間的に外れ、消えたのだ。それと同時に装備欄の下に、インベントリとトレードという項目が表示されるようになった。


それらを確認した結果、インベントリには自分が外した装備が保管されることが分かった。再度装備したいときには、装備したいものを装備欄にドラッグすればいいようだった。


また、インベントリには自分が狩ったシカ肉などは直接入れることができず、バックパックの中に収納した状態のまま、バックパックをインベントリに入れると、バックパック内の内容物として間接的にインベントリに入れられることが分かった。


また、もう1つの機能であるトレードは、ソウルポイントなるものを対価として、ゲーム中に使用できた武装などを購入することができるようだった。


ただ、現時点で交換できるものは、自分が装備していた武装とアサルトライフルなどのいくつかの銃に限られており、ほかの欄は???としか表示されておらず、今後新たに表示されるのかどうか判断できなかった。


そして、交換に必要となるソウルポイントは俺が便宜上”魔物”と呼ぶことにした生物を殺した時にしか得られないようだった。


実際、シカを狩った後の2日間で、再度小動物――ウサギなど――を狩った時にはソウルポイントは追加されなかったからだ。


そのことから、俺は現在ポイントとして表示されている5pは、ゴブリンを殺した時に追加されたものだと考えた。


そして、それを検証するため初日以来見ていなかったゴブリンが川辺にいるのを遠目に確認した俺は、川沿いの茂みの中で息を殺しながら、スコープ越しにゴブリンの動向を観察していた。


初日以来、何回か動物を狩っていたこともあり、以前よりははるかに落ち着いて行動することができるようになり、自分の冷酷さに少し嫌な気持ちになりつつも、俺はゴブリンに向かって引き金を引いた。


弾は頭部に命中し、ゴブリンはその場に崩れ落ち、ピクリとも動くことはなかった。それを確認した俺は、マップを開いてトレードの欄にあるポイントの数値を見ると予想していた通り、そこには10という数字が表示されていた。


「とりあえず、弾薬の補充の目途が立ったのは安心したな」


そうつぶやいて、俺は再度スコープ越しにゴブリンの亡骸を確認して、一度ゴブリンの死体を確認できる別の潜伏場所まで周囲を警戒しながら移動し、そこでゴブリンの死体を撒き餌に、ほかの動物や魔物をおびき寄せるため、息をひそめてたたずんでいた。


体感で1時間ほど経過したころに、動きがあった。


川辺にゴブリンが複数体出てきて、ゴブリンの亡骸を確認し始めたのだ。そしてその中には、今まで見てきたゴブリンよりも体躯が1.5倍ほどもあるゴブリンがおり、俺はそいつの見て息をのんだ。


そいつの存在感は、他のものとは一線を画しており、容易にゴブリンの上位種だということが理解できた。


通常のゴブリンならまだしも、あんな上位種に寄ってたかって襲われたら、いくら俺が遠距離攻撃手段として優れたものを持っていても、ひとたまりもないことは想像できた。


また、スナイパーライフルはどうしても射撃時の音が大きく、すぐに位置がばれるため、相手の数が多ければ多いほどこちらが不利になるということは明白だった。


俺はこの事実に冷や汗をかきつつ、対策を練らなけらばならないと考え、一度拠点に戻ろうと考えたとき、川沿いから雄たけびのようなものが上がったのを聞いた。


急いでスコープに目を通すと、ゴブリンの集団が体の大きい狼のような生物の一団と戦闘をし始める場面を目にした。


ゴブリンたちは5体前後ほどの集団だったが、狼はそれを上回る10体前後の一団で、ゴブリンの上位種を中心とした組織的な対抗をものともせず、次々とゴブリンを狩っていった。


最後の1体となったゴブリンの上位種は、全身をかまれながらも懸命に抵抗したが、数の力で押しつぶされ、最後には首元を咬みちぎられて絶命した。


その様子を確認した俺は、自分が風下側にいることに安堵の息を漏らしつつ、急いでその場から離れた。


拠点に戻った俺は、今まで無事だったのは、ただただ自分が幸運だったにすぎず、いつ死んでもおかしくなかったと感じた。


特に、今までスナイパーライフルの射撃音に魔物の集団がおびき寄せられなかったのは偶然で、至急対策を練らなければと感じ、何かないかとインベントリやトレードの項目を再度確認し始めた。


そこで初めて、トレードの欄にある自分が今持っているスナイパーライフルの項目を長押しすると、スナイパーライフルの機能の拡張という画面が表示され、そこにはサプレッサーやスコープなどがソウルポイントを引き換えに得られることがわかった。


そして、その中で今後必要になりそうなサプレッサーは、一番手に入りやすいものでも300ポイントも必要だった。


ゴブリン一体で5ポイント得られることから逆算しても、最低で60体は倒さなければいけず、サプレッサーなしで銃を使用するのはリスクが高すぎるとなると、現在持っている投げナイフやサバイバルナイフで魔物に対峙する必要があることは明白だった。


「銃なしで対抗しないといけないとかきつすぎるな」


そう愚痴をこぼしながらも、それ以外に有効な手段が思いつかないため、俺はその日から近接格闘や投げナイフの技能がきちんと体に馴染むまで訓練することを自分に課した。



訓練を始めてから3日ほどが経った。その間の食料は、以前に狩った動物の肉やレーションなどで済ました。ここで気づいたのが、バックパック越しにインベントリに入れた食料などは腐敗が進まなかったということだ。


インベントリ内はどうも時間が経過しないようになっていると考え、俺は食料のみならず、メンテナンスが必要な銃などもインベントリ内に出来るだけ入れるようにした。


ちなみに、ゲーム内では銃にメンテナンスなどをする必要はなかったが、どうもこちらでは普通に経年劣化などするようで、トレード欄に銃のメンテナンスセットが300ポイントで表示されていた。


自分で銃のメンテナンスなどできるはずもないと思ったが、このアバターの体はそこら辺の技能も習得しているらしく、直感的に何をすればいいのかが手に取るように思い出された。


最近この体に備わっている技能はどうも、アバターのデータを作った時に設定したこのキャラのバックグラウンドが影響しているのではないかと考え始めた。


というのも、このキャラは某国の特殊部隊を脱退したのち傭兵に転じたという経歴を設定として用いていたため、そう考えれば今自分の体に備わっている技能はどれもバックグラウンドに対して自然なものに思えるからだ。


とにかく、訓練を初めてだいぶ技能が体に馴染んできたため、俺はサプレッサーを得るべく、はぐれのゴブリンなどの弱い魔物を少しずつ倒していこうと動き始めた。







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