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夢と影
私には夢がありませんでした。
ただなんとなく生きてきました。
まあ、自分が生まれてきた意味について、何度も考えたのですが……。
そして、ある時、気づきました。自分は『影』であると。
半径1メートル以内にいるのに認識されないのはもうおかしいです。その人は私の存在に気づいた時、こう言いました。「いたのか?」と。
目の前にいたのに認識されない。空気ですか? 私は。
たまに家族でも私の存在に気づかない時もあります。黒○テツヤですか? 私は……。
なにをやっても中途半端で、秀でた部分がカケラもない……それが私です。
もし、今、ステータス画面が表示されたら、私のステータスは普通かそれ以下です。
ああ……私って今、生きてるのかな……。