9 戦う理由
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ルビィは亀と対峙する。仲間のアルドバの殆が戦闘不能であった。
ルビィは言った。
「貴方達は全員下がって!私だけで相手するわ!」
「しかしエーススカーレットまだ戦える者も残っています!」
「生きていたのね…」
何と先ほどのアルドバのパイロットだった。
「ほぼ偶然なんですけどね…運がよかったです…私のような者はまだ戦えます!だから…」
「ごめんなさい…ありがたいけど貴方達じゃ足手まといになるわ。下がって…」
「……すいません…ご武運を!」
パイロットの声は震えていた自分達では盾にもなれないとわかっていたから、だから彼らはルビィの指示にしたがった。
生き残ったアルドバが撤退して行く中でルビィだけ亀と対峙する。
相変わらず亀だけに歩みは遅いがそれでも進んでいる。倒さなければいずれエルダーえと辿り着いてしまうだろう。
幸いにもあの攻撃は知っていたら対処もルビィならそう難しくない。
近づいて近い距離で自分自信の最大の攻撃をすれば倒せる。ルビィはそう判断した。
前え駆けるがスカーレットの赤いボディが亀の視界に入ったのか見つけたぞと言わんばかりに吠える。
爆音
また亀がナパーム擬きを打ち出した。この攻撃はどうやら無差別にばら撒くだけの攻撃のようだがそれでも広範囲に当たる。
『炎の槍』
ルビィは地面に簡易的な塹壕を作りそこに身を隠しそれを防いだ。
だがこれでは前には進めない。ルビィはそこから亀の様子を観察した。
亀はやはりゆっくりと前に進んでいる。
しかしそこでルビィは気づいた。
亀の甲羅が赤くなっていることに。
「オーバーヒート…」
高熱の炎を辺り一面にばら撒くという行為は負担なしというわけには行かないという事がわかった。ルビィも経験したことがある現象だ。おそらく今はナパーム擬きは使えないだろう。
「今が一番チャンスね…」
ルビィは自分で確認するように呟いた。そしてルビィのスカーレットは塹壕から素早く前へ出た。攻撃が出来ない今精一杯近づいて強力な一撃で倒す。防御の要となっている甲羅を破壊すれば勝機が見えてくるだろう。
しかし亀も悠長にはしていなかった。
『ウグォォォォォォォォォオ!!!』
吠える。すると地面からもこもこと小型のイグノアーストが出てくる。それは亀までの道程までに数十体、それでもルビィは迷わず前へ進んだ。
向かってくるイグノアーストを『炎の槍』で迎え討つ。一体また一体と燃やしつくすが…
「邪魔ぁ!!前に進めないじゃない!!!」
やはり時間稼ぎが目的なのか亀のクールダウンが進む。このままでは恐らく間に合わない。
ルビィは意を決してスカーレットを炎で包みこんだ。
『炎の化身』
これは自滅技にも等しい技だから使いたくなかった。ルビィはそう思うが無駄口を叩く時間はなかった。
突っ込む。この状態のスカーレットは触れるだけで 爆発 する。
「あまり無茶は出来ないわね…」
そうつまり自身にもダメージがあるという事だ。
数体のイグノアーストを巻き込んで爆発する。スカーレットにもダメージが入る肩の防具が吹き飛んだりその他にも傷がついてしまうが立ち止まる事ない。ただ前に突き進む。
残り二体、ルビィは『炎の化身』を解除する。
『二対槍!炎の対槍』
二本の炎の槍が同時にスカーレットの手に生まれ二体のイグアーストの胴体を同時に貫く 爆発、これで道が開けた。
ルビィは最後の攻撃を。
強大な一撃を与える為亀に近づきながら同時に力を込める為に詠唱に入る。強力な技程力を溜めないといけない。
『我は炎…燃やし、焦がし、灰に帰す…命ある者を帰し…命なき者も帰す……
亀の目の前でできるだけ近づく、亀は以前としてズシンズシンとただただ前へ進んでいる。
スカーレットはオーバーヒートしているのか赤くなっている…そして完成する。
…故に我は炎!孤独の炎!!!破滅への焔!』
スカーレットの両腕から紋章が展開され大気すらも燃やしてしまいそうな程の熱の炎の巨大な槍が打ち出される。
その槍は物まるでビーム兵器のように直線を描き亀に直撃した。
時間が失われたのかのように一瞬だけ世界が止まったような感覚に襲われるが次の瞬間引き戻される。そして次の瞬間爆音と閃光が世界を包む。
「うわ!」
爆風でスカーレット(ルビィ)と色々な物が吹っ飛ばされる。少し近過ぎたようだった。
ズシンとスカーレットが地面に投げ出される。
「いっった〜…」
かなりの無茶をした事はルビィもわかっていた。失敗したら死んでいただろう。
しかしこれで亀は終わっただろう。『破滅への焔』はルビィの中で最も強い可燃力があるこれで燃えない物は今までいなかった。
だから
「うそ…」
ルビィは目の前でまだ平然と立っている亀を呆然として見つめる事だけしかできなかった。
『グォォォォォォオォォオ!!!!!』
亀が勝ち誇ったように吠える。そして
「まずいわ!」
ボムッ!とナパームを打ち出す。
ルビィは接近していたのでここで立ち止まっていたらおそらく死ぬ。動かなければ、ルビィはスカーレットを動かそうとするが…
「動けない!?なんで!!!?」
ルビィが気づけなかったのも仕方が無いだろう。爆風で吹っ飛ばされた時にスカーレットの右脚の関節部分に岩が当たり破壊されていた事に…
放たれる無数の死の炎がルビィに襲いかかる。
「くっ!『炎の槍』」
ルビィは『炎の槍』で幾つか迎撃するが明らかな数の違いがある。
一つがルビィにせまる。スカーレットは熱や炎に強いとはいえこれを食らえばひとたまりもないだろう。
直撃する!
はずだった。
『氷の柱…』
瞬間ルビィの前に突然太い氷の柱が現れて炎とぶつかる。ジューっと半分以上氷の柱は溶けてしまったが太い氷の柱はしっかりそれを止めた。半分以下になってしまった氷の上に岩が乗っていた。どうやら岩に火がついて燃えていたらしい。
そしてそれを作りだしたのはほかでもなく
「レスティア…」
ルビィが言った。青と銀のアルドバ、ブルースフィアに乗ったレスティアだった。
レスティアがルビィを助けたのだ。
「ごめん…遅くなった…大丈夫…?」
レスティアが言いながらスカーレットを支えて移動する。ルビィは言った。
「助けなんて頼んでない…」
「そう…」
レスティアはスカーレットを運び終わった後そのまま亀の元へと進んでいく。ルビィはその背中を見つめていただけであった。ルビィの手からは強く握りしめすぎて手のひらに爪が食い込み血がでていた。
レスティアはイグノアーストの亀を横から見た。とても大きく鉄のような甲羅がある。頑丈そうだと思った。
ルビィの火力でも倒せなかった敵である。強敵であろう。
レスティアはボウガンを構える。まずは一発
『凍れ…氷の魔弾…』
顔面に直撃する、亀の顔が凍りつき動きが止まる。だがそれも一瞬だった。熱で氷が溶けていってしまったからだ。
「グゥァァァァァァァァァア!!!!」
攻撃でレスティアに気づいたのか亀が頭をレスティアの方に向ける。そして甲羅からやはり
ボムッ!
っとナパームを撒き散らすだが…
『氷柱…』
レスティアの前に太い氷の柱が横に何本もたつ。
それが飛んできた炎を全て防いだ。
『凍れ氷魔弾…』
氷の壁からブルースフィアは躍り出て放つ
亀の前脚に当たって凍りつき亀の体制が崩れた。
『氷の床…』
レスティアは止まらない。地面がブルースフィアを中心に半径5mほどだけ凍る。そこをスケートをするように滑る。移動している間にも周りは凍りついている、高速移動だ。一瞬で亀の元へたどり着く。
ブルースフィアは亀の前脚に片手で触れるそして唱えた。
『触れる者の時を止め永遠にその形をとどめろ…翠緑の氷…』
触れた前脚から翠緑の氷が亀を包み込んでいく。
『グォォォォォォォォォオ!!!???』
亀は暴れるがその勢いは止まらない。ピキピキと凍りついていく。そして亀は完全に氷ってしまった。
あっ、と言う間だった。
レスティアは一つふぅ、と息をはいた。
『翠緑の氷』は敵を凍らせ動きを封じて最後は砕いて倒すといった技だ。
亀の動きはは完全に封じた後は砕くだけだ。
レスティアは再び亀を見つめる。こんなイグノアーストは初めて見た。おそらく特別種だったのだろうとレスティアは結論づけた。
そしてレスティアがカメにとどめを刺そうとした時にそれは起こった。
パキパキ!っと亀を包んでいた氷に蜘蛛の巣のような亀裂でき…氷が内側から砕かれたのだ。
『グォォォォオオオオオ!!!』
何という生命力なのだろう。ルビィには爆炎で攻撃されレスティアには氷漬けにされながらも亀はまだ生きていたのだ。
甲羅から再びナパーム擬きを発射するのか動きが止まるだが
「何どやっても無駄なのに…」
レスティアには『氷の柱』がある。何度その攻撃がきたとしても耐え切れる自信があった。
しかし亀はナパームなどは放たなかった。亀の甲羅の熱を何と喉に持ってきたのか亀の喉が赤くなっている。そして口からそれを放った。
レスティアがそれを避けれたのは本当に偶然だった。嫌な予感を察知し『氷の床』で防御することなく回避に専念したことによる英断だった。
暗い夜に赤い直線を描くようにその炎ははるか後方に飛んでいき着弾したのが見えた。
その攻撃はナパームのように広範囲ではないが明らかに威力がました攻撃だった。
広範囲から高威力に切り替えをしたのだ。
しかしそれでも
「私には…当たらない…」
そうレスティアのブルースフィアには『氷の床』による高速移動手段がある。確かにナパーム擬きよりはスピードもあり飛距離もましたがそれでも余裕を持って回避出来る。
だからそれを察知したのか亀は目標を変える逃げる的ではなく動けない的へと。
この時もしルビィのアルドバが赤でなければ狙われる事はなかったであろう。暗い夜の中でも赤は視界によく入る
レスティアは気づく。
「いけない!!!!!」
亀は目標をレスティアではなく動けないルビィへと変える。ルビィもそれに気づいたが片足が動かないスカーレットでは満足に移動は出来ない。
『氷の床!!!』
レスティアは亀とルビィの間に割り込んだ。
再び放たれる収束された炎は真っ直ぐルビィの元へと飛ぶ。ルビィを殺すたに。
レスティアは『氷の柱』を縦に5本生成する
しかし一本また一本と破壊されてしまう。確かに少しずつだが威力が小さくなっている気がするがそれでも十分な威力だった。
最後の一本も破壊される。レスティアはルビィを守るように立つ。
『氷』
マントを凍りつかせる。最後の盾だ。これが通用しなければ…
爆音
ルビィが言った。
「レスティア?レスティア!!!?」
土煙が舞い視界が閉ざされるレスティアは無事なのかルビィにはわからなかった。
土煙がはれたそこにはズタボロになってしまったブルースフィアが何とか立っていた。
「レスティア?レスティア!?」
ルビィは話しかける。すると
「ルビィ…?大丈夫……?」
レスティアが返事をした。生きていたのだ。
しかし怪我をしているのかだいぶ辛そうなのが声だけでもわかった。
「何で助けたの!?私なんてほっとけばそんな怪我しなくて良かったのに!」
「そうね…見捨てたくないって思った…不思議…昔はあんなにも見たくないって思ってたのに…」
「レスティア…」
「でも…それは昔の事って…ようやくわかった気がする…私の今までやってきことは…昔ルビィをいじめていた人と殆ど変わらない…ルビィの事を理解してもいないのに…偉そうな事言って…情けないって気づいたの…だから私はルビィに何かを言う権利はない…」
ルビィは黙って聞くしかできなかった。
その間にも亀は再び炎を口から放とうと準備をしている。喉が赤かったのも時間がたって元の色に戻っていた。再び放たれるのも時間の問題だろう。
「ルビィ…逃げて…私が囮になるわその間に…」
「馬鹿なこと言わないでよ!そんな事出来るわけないでしょ!」
「ルビィ…」
「そんなこと今言わないでよ!それこそ勝手よ!わがままよ!言うならもっと!もっと早く言ってよ…」
涙が頬を伝う。
ルビィはやっとレスティアの姉の心の一部に触れた気がした。ずっと一緒にいたのにずっと理解出来なかった。幼い時虐められていたのを無視された時には、きっとレスティアは私なんかに興味を抱いていないんだと思っていた。しかしレスティアが言ったことの中には確かな後悔が含まれていた。何故?今になって?わからない。ルビィはわからない。
だから知りたい。レスティアが何を思っていたのか知りたいとルビィは思った。
だからこんなこんところで死にたくない。
亀の喉が赤くなる。
「ルビィ!!!」
レスティアが叫ぶ。それでもルビィは動かない。逃げたくない。もしここでレスティアを置いて逃げたのなら一生後悔する。それだけはわかっているから。だからルビィは願った。神でもいい、悪魔でさえも構わないだから
「助けて…」
死の炎は二人にめがけ放たれる…現実は常に残酷でどうしようもない。だからからなのかそんな世界を嫌った少年がこの世界にきたのはそんな現実をひっくり返すために呼ばれてたのではないだろうか。
炎はルビィとレスティアには当たらなかった。
白い機体が立っていた。
そして
「あー…まあ、何だ…その…助けに来た!」
少年楓直人は戦場に立つ。
時を遡ること数時間前
「どこに行こうとしてるの?直人?」
「どこってルビィを助けるんだよ!あのままじゃ死ぬぞ?」
「誰が許可を出したの?」
「はぁ?」
「行ってはいけないわ。許可なしに出撃しようとする者は牢屋行きよ」
直人は怒りを覚えた。
「何言ってるんだよ!?お前らの仲間が死ぬかもしれないんだぞ!?黙って見てるだけなんてそりゃ酷いんじゃねぇかよ!」
それにイリスは頷く。そして言う。
「そうねルビィはアジェントのメンバーよ、だから…貴方には関係のない人物よ」
「ふざけるな!」
直人は憤慨した。何故そんなこと言えるのかがわからなかった。
それにイリスは続ける
「直人それに貴方は疑問に思わなかったの?貴方みたいなイレギュラーがここにきて何故ここまで平穏なのかということを…………
隠蔽してるからよ私とベイツで貴方の存在を、仮に貴方がルビィを助けに行ったのならもう隠せないわ。貴方は巻き込まれるわ。この世界の戦いに。これは私達の問題よ。異世界から来たあなたには関係ないわ。ベイツは貴方に戦って欲しいって言ってたけれど私はそうは思わないわ。貴方の望む平和な暮らしをさせてあげる。」
それでも
「貴方は助けにいくの?」
イリスは真っ直ぐ直人を見つめた。
直人は理解した。イリスは直人の心を読んで直人の思いを汲み取ってくれたのだと、でもそれは少し違う。
「ありがとう、イリスでも俺は助けに行く」
「なぜ?貴方は死にたくないんでしょう?なのに何でわざわざ危険をおかすの?ここにいれば安全よ」
「そうだな、ここにいれば死ぬことなんてなくてのんびりいられそうだ。でも…それじゃあいけないと思うんだ。」
「バカね、ほんの少ししか話してないじゃない。他人よ。他人の為に命を張るの?」
そう言われた瞬間直人の頭の中にルビィが言われた言葉を思いだした
「直人にはわからないでしょ…」
あの時は何も言えなかった。その通りだったから、でも今やっとわかった気がした。
「イリス…確かに今は確かに他人にちょっと毛が生えた程度だと思う。でもな、これからお互い知っていったら友達ぐらいにはなれるんじゃないのか?」
だから直人は言った。
「そんな奴を見殺しにするなんて事俺には出来ない…だから頼むイリス!俺を行かせてくれ!」
イリスは溜息を吐いた。
「それが貴方の答え?」
「そうだ」
「貴方は戦い続けなければならなくなるのよ?」
「構わない」
「そう、ならはい」
っとイリスは直人にブレスレットを渡した。
「何これ?」
「翻訳機、ようやく完成したのよ。アルにお礼言っときなさい。苦労させたし、今からお世話にもなるのよ。たっぷり感謝しとくのね」
直人はブレスレットを腕につけた。
「それとあの亀だけを叩きなさい。そうすれば他のイグノアーストも散るわ」
「何でそんな事になるんだよ?」
「そう言うものだからよ、それとあの亀の甲羅の中に高い魔力を感じるわ。それをぶっ壊せば確実に倒せるはずよ」
「何から何までありがとう、イリス!」
「それは全部終わってからもう一度聞きたいわ。さあ、行くなら早くしなさい。アルがドックで待ってるわよ。左の通路をずっと真っ直ぐ行くのよ」
「あぁ、わかった」
そう言って部屋から出て行く直人をイリスは見て思った事を口にだす
「貴方の勝ちよ、ベイツ。本当に男心はわからないわ」
投稿遅くなってすいません。直人君もほとんど動いてないけど次回は本当に戦いますから
許して下さい
ブックマーク、感想、意見、アドバイスなどなど常に待っております。