7 レスティアとルビィ
誤字脱字あったらお願いします
テニス勝負は引き分けだったらしい
なんと焦げたテニスボール(仮)がレスティアのコートに、凍りついたテニスボール(仮)がルビィのコートに落ちていたのだから
頭にさらに包帯を巻いた直人は落ちこんでいた。このままでは捕虜扱いになり飯を食べてる時も入浴時にも、もちろん便所にも監視が入るだろうそんな生活は耐えられる気がしない。直人は憂鬱な気持ちになっていた。
そんな直人に謝りたいと話しかけてきたレスティア。
謝罪の変わりにご飯を奢るということなので
直人はレストランっぽいとこに連れこまれたのである。
「直人の退院は祝して乾杯…」
レスティアがコップを持ち上げ言った
「いやそこまではいってない…」
直人もそれに合わせてコップを持ち上げる。
早速注文しようとしたが何を注文したらいいのかわからない。
レスティアが言った。
「ここのオススメはバニラアイス…とても美味しい…」
「おおそうか…」
直人はいわれるがままバニラアイスを注文した。
アイスがくるまで少しだけたわいのない話をした。本当にたわいのない話だった。
「うん、美味しかったよ」
「そう…良かった…」
「…」
「…」
沈黙が痛い。そう思った直人は思いきって聞いてみることにした
「んで本題は何だよ?これだけじゃないんだろ、用事?」
レスティアが俯いた。静寂が訪れる。どれくらいそうしていたのかレスティアがはなしだした。
「うん…ルビィがアルドバに乗るのを一緒に止めて欲しい」
「何でそんな事を俺に言うんだよ」
直人は理解できなかった。ヘスティアが言った。
「少し話が長くなる…いい…?」
「構わないよ」
そしてレスティアが話し始めた。
「私達には1つ上の兄がいた…兄はとっても優しくて強くて頼りになる兄だった…当時の私も兄にべったりでルビィもそうだった…いえルビィの方が甘えてたかも…その時のルビィは今とは大違いでとても恥ずかしがり屋で泣き虫でいつも兄の後ろに隠れていた…」
そこでレスティアは柔らかな笑みを浮かべた。昔の楽しい思い出を思い返しているのだろうか、しかしまたレスティアの表情が曇る
「でも…兄が死んだ…私達が丁度アルドバに乗り始めた頃に死んだ。私もその時は頭が真っ白になった…私も兄の事が好きだった…でも私以上にルビィの方がショックだったみたい…その次の日からルビィは誰に合っても喧嘩口調になった…大人にまで喧嘩を打って殴られた事もあった…今もそうアルドバをわざと目立つ色に変えてイグノアーストを挑発してる…実際よく狙われる。ルビィはきっと今も苦しんでる…兄が死んだ事に…」
レスティアが真っ直ぐに直人を見た。その目はとても力強くて真っ直ぐだった。
「今のままじゃルビィはそう遠くないうちに死んでしまう…そうならないように何とかして止めたい…だからお願い…」
直人が言う
「だからって何で俺なんだよ?まだ出会ってそんな話もしてないぞ?」
「直人は私達の兄と雰囲気が似てる…だからルビィも直人の事を気に入ってる…私が言うより遥かに効果があると予測する…」
これは困ったと思う直人だった。
すぐには返事を返せない
直人はそう言った。
直人は言った後になんて情けない男なんだ直人よ…、と思った。
しかしレスティアは許してくれた。
また後日に返事をしてくれればいいと言ってくれた。
直人は一人で町をぶらぶら歩く、不思議な町だ。
直人のいた日本と何となく似ている。
イリスから聞いたのだが昔この世界にも人と人との争い戦争があった、しかしそれは突如現れたイグノアーストの攻撃により終結、力を合わせなければ生き残る事さえ出来なかったとも言われているらしい。
皮肉なものだと直人は思った。
イグノアーストのおかげで平和になった。
そして今もそうなのだから。
でも、それでも、死ぬ人はいる。
直人はよくわからなくなり考えるのをやめた。
お日様が丁度てっぺんにいるお昼時のことだった
「本当に彼をアジェントにいれるの?」
ベイツの部屋でイリスが言った。
それに対してベイツは
「あぁ、入れてみようと思うよ。イリス君何がそんなに不満なのかね?」
イリスは少しだけ苛立った声をあげた
「何の為にここまで秘密裏に行動したと思っているのよ?彼の機体の動きを見たけどあれは、異常だわ。上の奴に目をつけられたら確実に使い潰されるわよ!」
ベイツが言う
「彼を心配しているのかな?」
「そ!そんなんじゃないわよ!ただ、私はあんな子が使い潰されたあげくイグノアーストに殺されるなんて事になって欲しくないのよ!」
「だからあんな姉妹を仲良くさせる事なんて言ったのか!彼に考える時間を与えるなんて本当に君はイリス君かい?」
ベイツが声を押し殺してクックックと笑う。
「彼は本当に異世界人だわ、間違いないわ。
だから私達の戦争にまで巻き込んではいけないわ。」
それに対してベイツが言った。
「そうだね、その通りだよイリス君。でもね彼は私達が強制しなくてもきっと私達と共に戦ってくれると思うんだ。そうだね、彼の目には怯えがあったのだよ。あの目は死を恐れる目だと私は思う。しかしそれだけではなかったのだよ。他に何か内に秘めているよ。きっと彼は」
「そんなの嘘ね、私は心の事なら何でもわかる。そういう能力なんだから」
ベイツは笑った。今度は大きな口を開けて大声でわははと、そして言う。
「男心は複雑で自分でもわからない時があるんだよ」と
いつの間にか日が落ち始めていた。
直人はずっとレスティアの事を考えていて時間がたっている事に気づいてなかった。
「どうすればいいんだよ…全く面倒くさいな本当に…」
「何がそんなにめんどくさいんだよ?」
直人はギョッとした。そこにはなんとルビィがいた。
「ル!ルビィ!どうしてここに!?」
直人はあたふたしながら聞いた
「どうしてって、ここは私のランニングコースだよ。直人こそ何してるんだ?」
墓穴を掘ったと直人は思った。
まさかルビィにアルドバを降りてほしいと説得するためにはどうすればいいのか考えていたなんて言えない。
そんな直人が口ごもっているとルビィが言った。
「そーだ!直人この間一緒に飯食べるって言ってたよな!丁度いいじゃないか行こう!」
ルビィはそう言うと直人の腕をとって引っ張って言った。
「んじゃ!直人の退院を祝しておめでとー!」
「だからそこまではいっていない…」
ルビィはジョッキを持ち上げる。直人も同じくジョッキを持ち上げて答える。カンッ!と互いをぶつけ合った後ルビィはそれをぐぃーと飲み干した
「ぷはぁ!美味いねやっぱり!ほら直人も飲めよ!」
「お、おう」
直人もそれに続く。アップルジュースに炭酸が入ったような感じの味だった。
直人は何とかしてレスティアに頼また事を伝えようとするのだがどのように言えばいいのかわからなくなり口ごもってしまう。
するとルビィがそれを感じとってくれたのか
直人に話しかける。
「そういえば直人は私のアルドバの事をどう思う?」
直人は自分の心臓が跳ねたのがわかった。まさかの質問である。
「どうして赤なのかが気になる…」
苦し紛れの質問だ。いやこれしか出てこなかった。直人はあまりルビィの事を知らない。いや、この世界もこの世界の人達の事もだ。
だからこの質問しかなかった。
ルビィは少し俯いて「うーん…」とうなっていた。
「うん、直人ならいいか………私には兄がいたんだ」
それは聞いた。昼頃レスティアから聞いた。その人が今いないことも知っている。
それでもルビィは話を続ける。
「まあ、その兄貴はなんだかな…そう情けなかったんだよ、誰にでもへこへこ頭下げるし、すぐに情けない事言うし。まあ、ようはヘタレってわけだ。」
ルビィは呆れたように言った。それでも直人にはルビィどこか誇らしげに見えた。
しかし
「だから死んだ」
そういった彼女の表情は静かな怒りだった。
「あいつは言ったんだ。絶対戻ってくるって…でも死んだ…情けないから、弱かったから死んだ…だから私は誓ったんだ!あいつみたいにはならない!いくら敵に見つかって囲まれようが知ったことない全部私が燃やしつくしてやる!」
レスティアの言った事を理解した。だから直人は言った。
「それじゃあ、お前が危ないじゃないか!レスティアが心配していたぞ!お前が敵に狙われるって!」
「それが狙いなんだよ!私が狙われば他の皆の死ぬ確率が低くなる!それに私はやられはしない!だいたいレスティアは心配し過ぎだ。兄が死んでからそうだ。いつも私のすることになんでもかんでも文句を言う。レスティアはきっと寂しいんだ。兄が死んで寂しいのさ!兄が死ぬ前は私に見向きすらしなかったのに!」
「そんな事ない!レスティアはきっと…」
「直人にはわからないよ…」
途中でそう言われて直人は何も言えなくなった。
ルビィが言った。
「直人にはわからないよ…だって私達の子供の時を知らないでしょ?当たり前だよ…………ごめん直人…熱くなった…ごめん…」
直人は何も言えなくなった。
その時けたたましいサイレンがなり響いた。
次回戦闘に入れるかな?