異世界召喚は突然に
食事を終えた聖人は、バックとキャリーバッグ…聖人にとっての通常装備で玄関から外へ出たはず(・・)だった。
「はて、俺は玄関から出たはずなんだか…」
目の前に広がるのは、金や銀で目が痛くなるような光を放つ装飾品が所狭しと並ぶ大きな部屋。
周りには、鎧を着て膝まづいている人が並んでいる。
「…某猫型ロボットのどこえでもいけてしまう扉を使った覚えはないのだが、。」
聖人はいつも以上に落ち着いていた…。なぜなら、今日は特に予定がないからだ、。という意味不明な理由だ。
「うぉぉおおお!!勇者召喚きたぁぁあああああああ!」
おそらく年下…高校一年生ぐらいの少年が背後で大声をあげていた。
「き、聖人先輩!」
後ろで颯斗が、パニックを起こしかけながら、話しかけてきた。
「いったい、どうなってるんですか!?」
「そんなこと知るわけないだろうが‼︎、逆に知ってたら怖いわ!」
当然ながら俺に心当たりはない…俺が知らぬまに部屋に魔法陣でもできてたなら話は別だが、。
「申し訳ありません、勇者様方。貴方様型を呼んだのは、私です。」
金髪縦ロールのドレスを着た女が、お辞儀をしながら喋っているが聖人はもう死んだ魚のような目をしていた。
「実は、あと三年で八百年間封印されていた魔王の封印が、解けるという予言が出たのです。魔王のいない現段階でも、総力戦になれば魔王軍との勝率は五分…是非‼︎勇者様にこの危機を救っていただきたいのです‼︎どうかお願いします」
(90度の綺麗なお辞儀…恐らくはこの国の姫君だろう。)
聖人はお辞儀だけで相手の身分を見破った!!
(俺の周りの日本人っぽいやつは、俺と颯斗と彩芽を合わせて7人か…、ちと厄介だな)
聖人は最悪の事態に備えて、敵に気づかれないよう準備を進めていた。
「事情はよくわかりませんが、そこまで困っている人を見捨てるわけにもいきません。僕たち(・・)にできることがあるとは思えませんが、ある程度のお力添えはしましょう。」
おそらくは、年下の黒髪のおさなさが残る美少年が堂々と進言した。
(勝手に僕たち(・・)とか…、ムカつくな…)
聖人は考えながらも、戦闘の準備をやめた…こいつを守る気がしなくなったからだ。これに意見をしない奴らも同罪といった感じだ。
『聖人先輩、どうするんですか?』
颯斗が、小さい声で喋る。
『自分のことぐらい、自分で考えろよ…、命の安全は保障してやるから自由に考えろ。』
聖人は、人に自分の意見を押し付けるのは嫌いだ。一人一人違った考えができると思っているからだ。
『…わかりました。今の段階では従ったほうがいいと思うので、今はまだ動きません』
聖人は、頷きながら
『無闇に動くのも危険だからな…話が終わったみたいだ。移動するみたいだからついていくぞ。』っと、あっけなく話を終わらせ集団についていった。