表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~ IF ~  作者: 名城ゆうき
序章
14/30

幕間


 畳とお香の匂い、蝉の鳴き声。

 温かな日差し、静かで清浄な空気。

 心なしか頭の隅が研ぎ澄まされるような感覚。


「……」


 見えない何かがこちらをうかがっているような、感じ。

 でも悪意はない。ただ、静観されている。


 きっと、祷と伊成の……五槻宮いつきのみやの祖霊達、護霊だと思う。

今、『葛束かちづか』のやしろにいるんだと、僕は改めて感じた。


「…………はぁ……」


 不意に僕は頭の片隅が重くなって、柱に頭を横たえた。


 少し、だけ。

 体がだるいなぁ。


 ぼんやりと、幼馴染達がしゃべっているのを見ながら思う。

 ちょっと……ちょっとだけ、眠い。


 そう思いながら起きようとして頭が揺れるのを感じた。どうしたんだろう、今日はやけに眠い。暑いからかなぁ。

 目をこすりながらなんとか意識を保とうとする。けれど眠いと思い始めたら眠りに身を委ねたくなるもの。

 ――――あ、眠っちゃうな、これ。

 そう思った次の瞬間、僕の体は横に傾いでいった。


 肌に伝わるのは畳の固い感触ではなく、柔らかくて温かい誰か。そして……安心する香りだった。








  * * *



 五槻宮いつきのみや いのり。 

 五槻宮いつきのみや 伊成いなり

 不知火しらぬい 白夜びゃくや

 峰早はやみね 詠里えいり

 高階たかなし 千弦ちづる

 安栖あんざい はじめ

 安栖あんざい スバル。


 そして僕、安栖日和あんざいひより



 みんなで八人。



 それが僕達普段のメンバー。

 人によったら人数が多いとか思うかもしれない。実際時々そう感じる時がある。部屋とかもそうだし、外を出歩くにもみんな揃うと結構目立つ。


 けれど、その八人そろってこそ僕達だと思う。誰が欠けてもいけない。そう、一つの八角形のように。

 そんな僕達を八卦、八卦図のようだとあの人は言ったっけ?


 僕は、ずっとこのまま八人でいられたらいいと思っていた。

 八人なら、どんな困難も苦しみも乗り越えていけると。

 

 だからこのバランスを崩したくなかった。


 ささやかな平和。

 安らぎの場所。

 これ以上は望まない。

 だから……神様。


 そこで見ているなら、今を、壊さないでください。




 …………。







 ……………―――――――。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ