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プロローグ
あの時、ああすればよかった
どうしてこうしなかったんだろう
ヒトは後悔を幾度となく重ねる生物だ
望もうと望まなかろうと
叶わなかった願いは
決して消えていくものではない
そして叶えられた願いによって昇華されるものでもない
だって
それ「その願い」自体が叶ったわけではないから
ただ
泥のように
心の奥底に、溜まっていく
例え忘れていたかのようでも
知れずに静かに
時を重ねるごとに
優しく
柔らかく
でも
確かな重みと
軋みを持って
淡く
包み溶かすように
『締めていく』
「あの時の想い」が
ねえ
もしもって思うことは罪なこと?
間違っていること?
後ろを振り返って立ち止まってしまうのは……いけないこと?
そうだとしても、なお
きっと止めどなく
繰り返し思ってしまうのだ
繰り返し
それでも……
もしも……叶うなら……