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部活紹介①

本校の生徒は必ず、部活動もしくはそれに準ずる生徒活動に参加すること。


配られた申込用紙を眺める。中学の時はバドミントンをやっていた。またバドミントンをやるのもいいが、新しいことを始めたいという気持ちもある。


「いおりんは何か気になってるのある?」


隣の席で同じく用紙を眺めているいおりんに話しかける。


「うーん、いっぱいあって迷ってる」


やっぱそうだよな。

これから体育館で部活紹介がある。決めるのはそれを見てからだな。



 ̄ ̄ ̄


「キラッキラ!そんな青春を送りたいならぜひ演劇部へ!」


きらびやかな衣装をまとい、輝かせながらステージの裏へはけていく。さすが演劇部、ステージの使い方が上手いな。


「次は軽音学部の発表です!少し準備に時間がかかるとのことです」


放送部員の生徒のアナウンスとほぼ同時にステージの照明が落とされ、部員であろう生徒達が機材の準備を始めた。一年生たちは気が抜けたようでざわつき始める。やれあの部活が良かった、これはどうだろうかと。


「お待たせしました、軽音学部の発表です」


またもや、放送部員のアナウンスでステージが明転し、楽器を持った生徒達の姿がはっきり見えた。先程までざわついていた体育館の空気が一瞬で張り詰めるのが分かる。


「軽音学部です!よろしくお願いしまーす!」


なんだこれ。かっこよすぎる。


一瞬で心を掴まれたオレはそのあとに紹介された部活動の内容をほとんど覚えていなかった。

体育館から教室へ戻る途中、ちょうどDクラスの教室に入ろうとしているまひまひを見かけたので声をかける。


「あ、かなめ君!やっほー!」


心なしか、まひまひも少し昂っているように見える。


「まひまひはさ、部活決めた?」


「うん!軽音やろうと思ってる!めっちゃかっこよかったし」


やっぱり。目を輝かせるまひまひに「実はオレもやってみたいんだよね」と打ち明ける。すると、すでに輝いていた目がさらに明るくなった。


「ほんまに!?やろやろ!」


「オレ初心者だけどね。つくつくとかに比べて不器用だしさ」


なんか言ってて恥ずかしくなってきた。


「関係ない!やりたいならやろ!」


……素直な子の言葉ってちゃんとまっすぐ心に響くからすごい。

さっきまであった迷いと不安は消え去った。教室へ戻ると申込用紙に記入する。


「軽音学部、と」


「かなめ君、軽音にしたん?」


声が漏れ出ていた。そうだよと答えると「いいやん」といおりんが微笑んでくれた。


「キラッキラな青春……」


演劇部のセリフと軽音学部の演奏がオレの頭の中を巡る。

すでにワクワクしてきた。絶対楽しい高校生活にしてみせる!



 ̄ ̄


「全然楽しくない……」


本校の生徒は必ず、部活動もしくはそれに準ずる生徒活動に参加すること。


こんな最悪なことが書かれた紙をおれはソファの上から放り投げた。そのまま眠りにつこうとするが、ご飯前だからと止められた。


「あはは、大丈夫だよ、つくも君」


「じゃあ、のぞみは何するか決めたの?」


しぶしぶ起き上がり、先ほど放り投げた紙を拾う。


「いや、僕も迷ってるんだけどね。部活動紹介を見たらどれも捨てがたいなって」


ふぅん。


まだ帰ってきてないけど、あゆむは中学の時からやってるバスケ部だろう。かなめは……バドミントンをまたやるのかな。

のぞみは中学の時は生徒会をやってたけど、あれは頼まれて断れなかったからだし。


そんなことを考えてまた眠気から意識を飛ばしかけていると、ちょうどあゆむとかなめが帰ってきた。


「おかえり、二人とも遅かったね」


「あぁ、ただいま」


「たっだいまー!ちょうどあゆあゆと帰ろうとした所にちづるんが押しかけてきてさ!あゆあゆがバスケ部入るって聞いたらしくて。それでちょっと遅くなっちゃった」


ちづるもどうやらバスケ部に入るらしい。あゆむの顔を見ると確かにやつれている。


それにしてもなんか、やけにかなめが浮き足立っている気がする。もちろんのぞみも気づいたようだ。


「かなめ君、嬉しそうだけど何かいい事あった?」


「え、いや、うん」


「かなめ、軽音入るらしい」


柄にもなくもじもじとしたかなめに代わってあゆむが答える。


「へえ、意外」


のぞみと声が重なる。


「や、なんか部活紹介で魅了されちゃって」


まひろも背中を押してくれたらしい。


「頑張ってみたいって思ってさ」


照れくさそうに、でもいつになく気合いの入ったかなめの声に少し驚いた。おれが言うのもなんだけど、かなめはどちらかというと「それなりに」くらいの感覚でバドミントンをやっていたように思う。勝っても負けても、楽しければそれでいいというタイプであゆむとは正反対。

だけど今のかなめにはあゆむのような情熱を感じられる。


「ふぅん、頑張って」


「そういうつくもは部活何するか決めたのか?中学と違って何かしら入らねえと」


あゆむが現実を突きつけてくるので、もう一度部活名と紹介が並んだ用紙に目を通す。あ、これなら。


「茶道部はどう?」


おれの考えを見透かしたようにのぞみが微笑む。茶道部のアピールポイントには毎日活動がある訳じゃないこと、何より運動部と違ってずっと座ってられることと書いてある。まあ、できることなら足を崩せれば最高なんだけど。


「かなめ君に影響されたでしょ」


はあ……。全てお見通しってわけ。さすが、おれ達の隠し撮り写真のアルバムがいよいよ五冊目に到達したのぞみだ。


「別に」


もう一度、茶道部の欄をチラリと見る。


毎週火・木に活動しています!

走ったりしないので、運動が苦手な人にもぴったりです!


ただし、




やる気のない人はお断りです!



「……影響されたわけじゃないし」



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