他己紹介ボウリング①
「いおり!かなめ!ボウリング行くで」
その日の放課後、オレたちAクラスの教室に五人を引き連れたちづるちゃんが駆け込んできた。
いや、あゆあゆとつくつくは完全に引きずられている。あゆあゆの歪んだ顔にどれだけの攻防があったのかが見てとれたので思わず手を合わせたら睨まれた。
「ちづる、あんたはまた勝手なことばっかり」
いおりちゃんも妹の暴走っぷりに思わずため息をつく。現時点で乗り気に見えるのはちづるちゃんの暴走に慣れているであろう、しぐれちゃんとまひろちゃん、そして何でもオッケーしちゃう我らが長男、のんちゃんだけだな。ま、オレもめちゃくちゃ楽しそうって思っちゃった側なんだけど。
「だってせっかくやから仲良くしたいやん!」
「でもみんなにも都合があるやろ!つくも君に関しては寝てるし、それほぼ誘拐やで」
引きずられようが何しようが、つくつくは安定に夢の中だ。ただまあ別にオレ達も特に用事はないし仲良くなりたい気持ちは同じだからといおりちゃんを説得するとちづるちゃんが得意げになる。
「じゃあちょっとだけやで」
そう言っていおりちゃんも納得してくれたのでオレたち八人は学校の最寄駅から徒歩五分の距離にあるボウリングもできるアミューズメント施設へ向かった。レーンの置き場にボウリング球を置いて各々座席に腰を下ろす。
それぞれクラスごとにペアとなり、いおりちゃん&オレのAクラスとしぐれちゃん&あゆあゆのCクラスが一レーン、ちづるちゃん&つくつくのBクラスとまひろちゃん&のんちゃんのDクラスが二レーンとしてチーム対抗戦をすることになった。
そして親睦を深めるため、プレイヤーが投げている間は兄弟姉妹がその人を他己紹介することになった。まあ、これはオレの提案だけど。
そして罰ゲームで負けたチームは全員をあだ名で呼ぶこと、そしてプリクラで変顔をすることになった。これはちづるちゃんとしぐれちゃんの案。
「じゃあ早速やるか!一ゲームだけやから順番に投げてこ!まずはいおり!」
めちゃくちゃ久々なんやけどと言いながらいおりちゃんが自分のボウリング球を構える。そして投げている人のことを紹介をするというルール、最初にいおりちゃんを紹介するのはまひろちゃんだ。
「えっと、いお姉は見ての通りしっかりしてて」
久々と言っていた割には綺麗に八本倒している。これならスペアを狙えそうだ。
「でも意外と可愛い物好きというか、しぐ姉のぬいぐるみをたまにこっそり愛でてる」
手元が狂ったのか、球はバン!という大音とともにまっすぐガーターに吸い込まれていった。
「な、何で知ってるん……?」
ゆっくりと振り返るいおりちゃんの顔は真っ赤だった。
……なるほど。我ながら、心臓に悪いルールを考えてしまったかもしれない。




