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エンカウント

「めっ……ちゃくちゃ似てるなあ!」


昼休みの中庭。隣の席のいおりとそっくりな女子にまじまじ顔を見比べられている。でもそれはこちらも同じ感想だ。


――――――


遡ること、数時間前。

オレ、かなめは登校時にまた間違えないようにと、一緒に弟のつくつくの教室に向かった。そこで待ち構えていたかのように出くわしたのは、昨日いおりの席に来ていたうちの一人。髪型だけでしか区別がつかないが、確か一番騒がしい子だった気がする。


「もしかしてあんたらか!?」


いきなりのお出迎えに少し圧倒されるものの、言いたいことはわかるので多分だけどそうだよと答えておく。


「よっしゃ!じゃあ昼休みに中庭に集合すること!他の二人も連れてきてな!てか伝えてくる!」


そう言い終わるとすぐに教室を出て駆けていく。そしてすれ違った教員に注意を受けている。やっぱり騒がしい子だ。


「なんだったの?」


左手でまぶたをこすり、大きくあくびをするつくつく。目の前で何が起きたか理解できていない様子だが無理もない。

だが特に深く追求するつもりもないらしく、とことこと自分の席に向かい、すぐさま突っ伏した。

こらこらと体を起こさせ、自分の教室へと戻る。多分、いや絶対また寝ているだろうな。


自分の席に座ると先ほどの女子とそっくりないおりの姿があった。つくつくとはそれはもう真反対の綺麗な姿勢で座り、教材の準備をしている。

おはようと声をかけ、先ほどの出来事を話すと顔が歪んだ。それこそつくつくの姿勢みたいな歪み具合だった。


「うちのバカがほんまにごめん」


今にも土下座してしまうのではないかというほどの謝罪を受け、いやいやと手を振る。今朝、家を出てからも必死に止めたらしいのだがその結果があれだったのだ。

だがこちらとしてもむしろ噂を聞いていて会ってみたいと思っていたくらいだし。

とりあえずそういうことだからと話を終わらせる。このまま話を続けてしまうと入学早々本当に土下座させることになると思ったからだ。


それにしても。思わず顔がにやけてしまった。

面白くなりそうだ。


――――――


そして現在に至る。

ついに噂の四つ子姉妹と対面した。

そしてそのうちの一人が目の前に、それはもうぐいぐいと迫ってくる。


「いった、何すんねんいおり!」


すぐさまいおりを睨みつけるが、失礼やろと嗜められ、小さくなる。きっといつもこうなのだろう。


「うちのあほが失礼しました。長女の羅野いおりです。Aクラスです」


「あほとはなんや!でもまじまじ見てしまってごめんな。うちは次女のちづる!Bクラス!よろしく!」


「しぐは三女のしぐれです!しぐって呼んでね!あ、Cクラス!」


「四女のまひろです……!ちづ姉が失礼しました。Dクラスです」


名乗るだけでも個性が出るなあと微笑ましくなる。


「じゃあ次は僕たちの番だね。」


のんちゃんこと長男ののぞみが名乗る。


「まひろちゃんと同じDクラスです。よろしく。」


「次男のあゆむだ。Cクラス。以上。」


あゆあゆが続く。何やら不機嫌そうにしていたが、ちづるちゃんの突撃が理由だったと後で聞いた。

一緒のクラスだと小さく手を叩くしぐれちゃん。そしてオレの番。


「オレはかなめ!いおりちゃんと同じクラスだよ!仲良くなれたら嬉しいな」


うん、改まると少し恥ずかしいものがあるな。最後のつくつくは…と。


「これは?ずっと寝てるけど」


ちづるが指を刺したのは我らの末っ子、つくつくだ。見事に夢の中である。



「ごめんね。この子、四男のつくも君は寝るのが大好きでね」


穏やかに笑いながらのんちゃんが代わりにつくつくの紹介をした。さすがにツッコミが入る。


「うちと同じクラスやけどさ!昨日からいつ見ても寝てるから心配なるねんけど」


同じBクラスのちづるが言うには起き上がっているところを見る方が難しいらしい。確かにそれは心配するのも無理はない。


「ん……。でもちゃんと聞いてるよ。うるさいのがちづるでしょ」


か細いいかにも寝起きの声にちづるちゃんが突っかかっている。つくつくって、なんだかんだ状況を把握しているんだよな。


「てか、そろそろ時間なくねーか?」


「しぐもお腹空いた」


あゆむとしぐれの声をきっかけに時計を見ると予鈴まであと10分となっていた。


「おれはもう食べた」


「いつのまに!?」


抜かりないつくつくにみんなが驚きつつも笑う。オレもつられて吹き出してしまった。


いよいよ予鈴が鳴り、急いでご飯をかき込む。そして、教室へ到着した瞬間に本鈴が鳴り響く。

午後も平穏でありますように。

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