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アークロック  作者: 加鳥このえ
第二章 激突! 修行編!!
22/30

第22話 合宿開始!

 合宿前日、僕はどうってことない普通の一日を過ごしていた。


 なぜなら旅行の道具はすでに一式揃っているからである。師匠に連れられ何度も旅行しに行った経験が役に立つとは、感動で涙が出る。


 さて、そんな僕は今、師匠と二人でアークロックの基地にいた。そこで、師匠と話す。


「合宿はいいですけど、その間に出てきたアークリオンはどうするんですか? やっぱり僕だけは残ったほうがいいんじゃ……」


「いや、問題ない、行け」


「でも……」


「行けと言っているんだ。まだ学生だろ、イベントに、仕事があるから行けませんと言う年齢じゃない。こっちの事は私に任せろ」


「師匠一人に任せるのは……」


「いや、一人じゃない」


 扉を開ける音が響く。奥から出てきたのは、鍵屋『ガッチャン』の唯一の店員である、大学生の絵美(えみ)さんだった。


「え、え!? まさか……!」


 絵美さんはフフフと微笑み、こう言う。


「はい。私もアークの使い手です」


「ええ!? じゃああなたもアークロックの一員?」


「いえ、私はしがない店員にすぎません」


 師匠は小さく微笑み、こう続ける。


「……と、いうことだ。プラネッツの動きも活発ではない。それに、今は灯里(あかり)にやられた事が堪えているのか、大きく動く気配もない。だから心配いらないということだ」


「……なるほど」


「このチャンスを生かさない手はない。敵がビビって動けない間に、強くなれ。勘違いしているようだから改めて言うぞ。お前はまだまだだ、鍵斗(けんと)。確かに他のメンバーとは違い、三年の経験がある。だが、それで満足ではないだろう? もっと強くなれ。お前はアークロックのリーダーなのだからな」


「……はい!」


 僕は、その言葉を強く抱きしめた。


 そしてふと疑問に思い、こう()く。


「思ったんですけど、リーダーって師匠なんじゃ……?」


「何を言っている。私はアークロックの一員ではない。アークロックに命令を出す上位組織の一員だ、そっちの方が格好いい」


「……な、なんじゃそりゃ」


 今まで、僕は師匠と僕の二人でアークロックをしていると思っていた。そこに陽向(ひなた)さんが入ってきて、穂火(ほのか)さんが入ってきて、(れい)くんが入ってきて……そんな流れだと。


 だがどうやら、元は僕一人でやっていたらしい。


 師匠は元から、僕の上位組織であったのだ。


 意味がわからないと思うが、これが師匠だと納得した。


 そして僕はこう言う。


「とりあえず、旅費はそっち負担ですよね?」


「ああ、君たちが出すのはお土産代だけでいい。最初の日は私も引率として同行する。残りの六日間は学生だけで楽しめ」


「はい」


 僕は納得する。そしてほんの少しだけ、未来に希望を持った。擬音で表すなら、ワクワク。


 みんなは何をしているのだろうと思いながら、僕は明日の準備を始めた。


 □■□■□


 そして、アークロックの四人は明日に向けて動く。


 陽向灯里(ひなたあかり)山田穂火(やまだほのか)はショッピングモールにいた。


 二人は、明日のために必需品を買う。日焼け止めを買って、お風呂用品を買い、着替えを買い……。


「いいね〜、似合うよー!」


「ううっ、ちょっと派手じゃないですか?」


 二人は、和気藹々(わきあいあい)と水着の試着をしていた。


 そんな女性陣とは対照的に、男性陣は家にいた。


(れい)〜! 明日旅行に行くようですね!」


 長い髪はいい匂いがし、目は大きく丸い、そんな美形も美形な人が、水沢零(みずさわれい)に抱きついた。


 零はその子を()でながら、こう言う。


「いつも言っているだろ、(もも)。僕のことはお兄ちゃんと呼びなさい」


「だってー! 寂しいもん!」


「はいはい。お兄ちゃんは一週間だけ家を出るだけだからさ」


「むー」


 その子は、駄々をこねるように零の服に顔を埋める。


 ここは、大きな家。ししおどしの音が響く庭があり、木材と畳でできたまさに和風邸宅であった。


 そんな場所で、百はこう言った。


「でも大丈夫? 海があるんでしょ? お兄ちゃん、女の人が苦手だから」


 零は百を撫でて、こう言った。


「大丈夫。お兄ちゃんには頼れる先輩がいるから」


「そっか。じゃあいいや!」


 百は楽しそうにそう言って笑う。そこに父がやってきて、二人にこう言った。


「兄弟揃って何してる?」


「にししー! お兄ちゃんと遊んでた!」


 そう、百は弟であり、その美貌は女の子と勘違いさせるほどのものであった。


 そんな穏やかな零とは違い、空錠鍵斗(くうじょうけんと)はキャリーケースにプレスをかました。


 上から全力で押して、強引に()める。


「うおおおおおお!」


 そう、彼は『鍵使い(キーユーザー)』。そして閉じる才能を持つ。


 キャリーケースを閉じるなんて、朝飯前なのだ。


「ふいー」


 汗を拭き取って、やってやったと言わんばかりに安堵(あんど)する鍵斗(けんと)。彼はキャリーケースを見て、ニマニマと笑った。


 明日から始まる合宿を妄想して。


 そして、ついに合宿は始まる。


「あ、おはよー!」


「おはよう」


 早朝、陽向灯里(ひなたあかり)が基地につき、アークロックのメンバーが揃う。


 全員でシーラの車に乗り、移動する。


 道中のドライブを楽しみながら、朝の九時にはフェリーに乗ることができた。


 シーラはフェリーの中で、四人にこう解説する。


「これから君たちが行く島は、桃木島(ももぎじま)という。そこは、鬼が住む島とも呼ばれ、桃太郎という男が鬼を倒したという伝説がある島だ。そこで君たちには合宿をしてもらう。宿はすでに用意してある。着いたらそこに行こう。まあだから、着くまでは自由時間だ。私は寝る。みんなは海を見るなりなんなりして時間を潰せ。以上」


 四人は、アイマスクを着けて眠るシーラを置いて、デッキに出る。


 そして、海を切り裂くように進んでいくフェリーとともに、潮風を浴びた。


「うわー! 凄いね!」


「うん……! って! 陽向さん危なくない!?」


「大丈夫だよっ!」


 灯里はスマホを構えて、風で崩壊した髪型のまま、鍵斗とのツーショットを撮る。


 穂火はデッキに置かれてあるベンチに座りながら、先に見える小さな桃木島を見つめる。


 零は船酔いでダウンしていた。


 灯里と鍵斗は海を見つめながらこんな会話をする。


「ひゃー! 落ちたら終わりだね」


「だね。でも、助けるよ」


「えー? できるのー?」


「できるよ。相棒だもん」


 ふと光に照らされて、灯里の桜のヘアピンがキラリと光る。


 灯里は微笑んでこう返した。


「じゃあ、私も助ける。相棒だから」


「うん」


 そして、二人はまた写真を撮る。灯里が鍵斗を連れて、穂火と零のもとに行った。


 船酔いでダウンしてた零の横に穂火は座っており、そんな二人と共に写真を撮る。


 灯里は穂火を連れて、デッキの端へ向かう。鍵斗は零の横に座り、二人の帰りを待つ。


 近づく島。少しずつ大きくなる島を見て、灯里と穂火は笑顔を見せた。


「大きくなってきた!」


「も、もう少しですね!」


 そのフェリーは多くの観光客と共に、アークロックを送り届ける。


 ついに、彼らは桃木島に足を踏み入れた。


「ここが、桃木島」


 大きな山があり、綺麗な海があり、石で作られた壁が象徴的な自然豊かな島。


 目を閉じると、さざなみの音が聞こえる。それはピアノで弾かれたメロディのように心地いい。


 そんな場所で、彼らの合宿は始まる。


 全員がワクワクを心に宿しながら、今……一歩を踏み出した。

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