表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/14

第12話「未来に咲く、二人の光」

春の陽射しが校庭を照らしていた。

桜の花びらが風に揺れ、ひらひらと舞い落ちる。


ひまりは校門を抜け、陽斗の隣を歩いていた。

昨日までの不安や恐怖が、嘘のように軽く感じられた。


「ねぇ、陽斗くん」

ひまりが小さくつぶやく。


「ん?」

陽斗は笑顔で応える。


「……怖い夢を見たみたい。

でも、もう大丈夫。

あなたがいてくれるから」


陽斗はそっとひまりの手を握った。

指先が自然に絡み、鼓動が伝わってくる。


「ずっと守るよ。

もうひとりにさせない」


ひまりは目を潤ませながら笑った。

その笑顔に、陽斗も心から安堵する。


校庭を抜け、駅前まで歩く。

途中で、少し足を止める。


「陽斗くん……覚えてる?」

ひまりが少し照れながら聞いた。


「もちろん」

陽斗は頷く。


「中学のとき、泣きたくても泣けなくて……

怖くて逃げたあの日」


ひまりの声が小さく震える。

でも、今は恐怖ではなく、思い出として語れる。


「今なら……怖くない」

陽斗の手がひまりの肩にそっと触れ、

温かさが伝わる。


「私、陽斗くんと一緒なら、どんなことも乗り越えられそう」


陽斗はひまりを見つめ、

言葉を選ぶ必要もなく、自然に答えた。


「俺もだ。

ひまりと一緒なら、何があっても大丈夫」


ふたりの指先が強く絡む。

風に乗って舞う桜の花びらが、ふたりの周りで光を散らす。


駅前に着くと、見慣れた景色が

新しい世界に変わったように感じた。


「ここから、二人で歩こう」

陽斗が手を差し出す。


ひまりは少し躊躇したが、すぐに手を取り返した。


「うん、二人で」


その手を握る温もりが、

これから続く未来のすべてを約束しているようだった。


ふたりは肩を並べ、歩き出す。

笑いながら、時に立ち止まり、

小さな花びらを手で掴むように、

一瞬一瞬を大切に重ねていった。


そして、桜の花びらが舞い落ちる道を、

二人の影はひとつになった。


過去の痛みも、恐怖も、涙も、

すべてがこの瞬間のための光となる。


ひまりの笑顔、陽斗の温もり。

二人の心が完全に通い合い、

世界で一番あたたかい光に包まれた。


――これからの未来も、

ずっと一緒だ。


涙を拭い、笑い、抱き合い、歩く。

手を離すことのない、二人の物語がここから本当に始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ