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不遇スキル「わらしべ長者」で殺せぬ勇者 〜魔力ゼロでも無双します〜   作者: カジキカジキ


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西の都

 王都を脱出して西へと進んだ僕たちは、西の端にある都へと到着していた。

 流石に此処までは僕らの事は知られていないみたいで、冒険者証を見せるとスンナリと中に入れた。


 西の都、今の王都移遷の前に長く王都だった場所。

 流石に元王都だけあって中の建物も立派で、中央に見える尖塔もすごく大きい、だけど人の姿は散漫としていて規模の割には人は少なそうだ。


 僕は、取り敢えず冒険者ギルドに入り、依頼の内容や人の状況を見る事にした。


 ギイッ


 扉を開けると、やはり閑散としていてギルド職員もあまりやる気が無さそうだ。

 受付まで行くと一応要件をきかれたので、どんな依頼があるのか聞いてみた。取り敢えずEランクの定番、薬草採取があると言うので受ける事にする。


 西の都は、その西側には海が広がり、東側は荒れているが畑が広がる大地、南側は山脈が繋がっている。

 その山脈側の山に入る手前で薬草取りをするのが定番らしく、採取場所なども受付で教えてくれた。


 今日の所はギルドで聞いた宿に泊まって、明日からは久しぶりにイヅミさんの力でイバラキ草の採取といきますか。


 ・

 ・

 ・

 

 数日間、イバラキ草の採集と、たまに現れる兎なんかを捕まえてギルドに納品しながら情報収集をする。

 ある程度親しくなったギルド職員に、特に古い時代の物が無いかと聞くと。王都移遷の時に持って行けない道具や書物を古道具や古本屋に売って(捨てて)いった貴族や収集家がいるそうで、そういった店を回るのはどうかと提案された。


 そうかと思い次の日の採取を休みにした僕は、何軒かの古本屋を回って、ついに見つけた!


 その本は、かなり古い装丁がしてあり三冊に別れていて、それぞれの表紙に書かれている文字があの詠唱の文字だったんだ!


 店主に聞くと誰も読める者は居らず、きっと著者が自分にしか読めない文字を作って自己満足で書いた日記か何かだろうと言う事だった、装丁は凝った模様だったので飾って置くには丁度良いと値段を聞いたら、長く売れていない物だったらしく格安で売ってくれた。


 ついでにニヤでも読める物語の本も買ったので、殆どその本の値段みたいなものだった。


 その日からは、収穫も休みにして本を読む事に集中、宿に引き篭もってイヅミと二人で本を読み込んだ。


 ・

 ・

 ・


 はぁー、そんな事だったとは。


 三冊の本を読み終えた感想は。


「人族なんて滅んでしまえ!」


 何が魔族が襲って来ただ! お前らが勝手に人間の数を増やしまくった挙句、大地の資産を消耗して何も収穫できないようになって、どんどん食べ物や資源を求めて広がり続けた挙句、魔族の領地まで取り込もうとしたんじゃないか!


 子供の頃からずっと聞かされていた話しとは全く逆だった! 人間が魔物と魔族を襲って南へ追いやり、自分たちの食べる物が作れなくなると、さらに南に押し掛けて、遂には極地にまで手を出した!


 なんて奴らだ、何て人間は自分勝手なんだ!

そんな思いがこの本には書かれてあった。


 始まりの一冊は、この世界の歴史、元々は魔族も魔物も獣人などの亜人も人間も皆んな一緒に暮らしていた。

 人間は数も少なく少数派だったけど、利口で手技が利いて、繁殖も年中だったのであっという間にその数を増やしていったと言う内容。


 二冊目はそんな人間が亜人や獣人を奴隷にして、土地を広げていった事。足りなくなった食糧を生産するために土地を開墾し、魚を取り、獣を狩り、どんどん消費した。

 その際に使う魔法で、大気に漂う因子もどんどん消費され少なくなってゆくと魔法が発動され難くなり、人々は魔法が使える土地へと移動する。


 残された人々は魔法を使わなくても生きていけるよう薪を得る為に山の木を倒し、井戸を掘って水を吸い上げ、さらに大地の資産を消耗しどんどん土地が痩せ細らせていった。新たな土地を広げる為に魔族を襲い、その土地を奪って生きる人間の醜さをツラツラと書き記されていた。


 そして三冊目には、本来の魔法の詠唱の文字。

 僕が詠唱に使った言葉が書かれていた。しかしそれは大量の因子を消費してしまい、周囲の因子を無くしてしまう。暫く待てば因子は戻るのだけれど、一度に沢山の因子を消費すると、戻るまでに時間が掛かる事になる。


 因子は魔族にとって呼吸と同じく必要な物で、因子が無くなると生きていけない。実は植物も同じで今の土地では因子が無いと上手く野菜等も育たなくなるのだ。


 そしてそれを危惧した神が。これから先の、この世界を生きる生き物達の事を考えて生み出したのが。

 敢えて違えた神の名前を広め、祈りを捧げさせ、違えた名前の神の神託を受けさせる。

 そこで授かったスキルと魔法は、因子の消費を抑えた弱い魔法になり、因子の枯渇を防ぐ事となる。

 

 そして最後に、この世界を創り上げ魔法とスキルを人間に与えたのは魔王だと衝撃の一言が添えられていた。

 

 ・

 ・

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 西の都は、因子が減って手放された街。今の王都は五十年前にここから移動して建てられた街だった。


 人はどんどん魔族のいる南へと移動している。そして魔族や魔物が生きるには因子が必要だから、因子の少ない他の場所で魔物を見なかったんだ。

 

 この街での目的は果たした。


 僕は、残しておいたイバラキ草を全部店に持って行き。その全てを上級ポーションに加工して貰った。そして他の荷物の準備を整えて、目前に迫る山脈越えを決意した。


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