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不遇スキル「わらしべ長者」で殺せぬ勇者 〜魔力ゼロでも無双します〜   作者: カジキカジキ


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スキルの進化

 流れてくるメッセージを一つ一つ読んでいく。


 スキルの進化!?


 凄い! 発動の条件が分からなかったスキルが任意に使えるようになってる。


 体が勝手に動いてしまうのも止められるし、多重ってのはよく分からないけれど。収納って、もしかして収納魔法の事? だったら物凄いスキルだよ。


 それと、検索に知識の泉? これは何だろう?


『これは何だろう? 知りたい』そう思った時だった、僕の頭の中に物凄い量の言葉が溢れてきて、頭の中が一杯になってもドンドン、ドンドン入って来ようとしたんだ。


「ッ、頭が! 頭がイタイ」


 急に頭が痛くなって(うずくま)ってしまう。


「アベル!? 大丈夫か?」


 (うずくま)った僕を、両親が心配して支えてくれる。


(本体の許容量オーバーを検知しました! 本体の生命に危険が生じた為、スキルの使用を停止します)


 何かとんでもない声が聞こえたかと思ったら、頭が痛いのもスッと消えた。


「ありがとうお父さん、お母さん。もう大丈夫、痛いのも治ったよ」


 それでも両親は心配して、司祭様の話が終わった所で僕たちは家に帰ったんだ。


 その日の夜、僕はベッドの中で昼間の事を思い出していた。


 あの時は、進化したスキルの事を考えていたんだ。そして、検索と知識の泉って何……とと危ない。これ以上はまた昼間と同じ目に遭ってしまう。


 頭の痛みの中で、さらに頭の中から声が聞こえた。これはスキルが進化した時にも聞こえた声だ。


「頭の中に誰かいる?」


 思わずそう呟くと。


(はい、スキルの管理を司るスキルAIと申します)


「うわっ!?」


 頭から返事が聞こえて思わず叫ぶ。お母さんが心配して見に来たけれど、寝たフリをしてやり過ごした。


「スキルAI?」ヒソッ


(はい、スキル『わらしべ長者』がInfinityまで進化した事で誕生したスキルAIです。ちなみに本体様は声に出さなくても頭の中で考えるだけで私に伝わります)


 そうなの!?


(スキルAIは何が出来るの?)


(はい、スキルAIはスキル『わらしべ長者』の発動や制御、付随する機能の管理を行います)


(昼間、頭が痛くなったのはスキルのせい?)


(はい、スキルの検索と知識の泉の発動で大量の情報が本体様の脳に送られて、耐えきれずに熱暴走を起こしかけました)


(そうならないようには使えないの?)


(はい、現在の本体様の脳では容量不足により不可能です)


 何気に失礼な事言ってる?


(他に使う方法はないの?)


(はい、本体様以外では使えません。例外としてスキルに付随するスキルAIの私に機能を与えて頂けると本体の代わりに制御、回答させて頂けます)


(君が代わりにそのスキルを使うって事?)


(はい)


(うん、もう頭が痛くなるのは嫌だから、君が使って良いよ)


(はい、本体様の了承を得ましたので。スキルAIに『わらしべ長者Infinity』の付随スキル「検索」と「知識の泉」をインストールします)


(インストール完了まで、暫くお待ちください)


(インストール完了まで、残り九十九%)


(インストール完了まで、残り九十八%)


(インストール完了まで、残り九十七%)


(インストール完了まで、残り九十六%)


(これ、ずっと言い続けるの?)


(消す事も出来ます)


(じゃあ消して)


(はい、カウントダウンを消します)



(あと、どれくらい掛かる?)


(はい、全てのインストールが完了するまで、およそ十七万二千七百十二秒です)


(それって何日?)


(はい、およそ二日間になります)


(じゃあ、終わったら教えて。僕は寝るから)


(はい、お休みなさい本体様)


 朝になって、スキルAIの事をすっかり忘れていた僕は、何事もなく二日間を過ごしていた。


 ・

 ・

 ・


 ピコン!


(スキルAIへの「検索」と「知識の泉」のインストールが完了致しました。これによりスキルAIが進化して人格を持ったスキル。スキル「愛」としてアベル様にお仕え致します)


 二日後の夜。さあ寝ようかと寝床を整えていると、すっかり忘れていたスキルの音と声が聞こえてきた。


 と言うか、なんか知れっととんでもない事を言っていませんか?


(アベル様、改めてご挨拶申し上げます。スキル「愛」と申します。今後とも宜しくお願い申し上げます)


 なんか凄い(かしこ)まってるし。もうちょっと親しくても良いよ?


(では、アベル様。これからよろしくね。でよろしいでしょうか?)


 様も要らないし。


(アベル、これからもよろしくね。分からない事があったら愛に何でも聞いてね)


 だいぶ良くなったけど、愛って呼ばなきゃダメ?


(AIからもじって「愛」にしたけれど、おかしいかな?)


 何と言うか、僕が呼び難いと言うか。


(じゃあ、アベルが何か新しい名前考えてよ)


 僕が?! そうだなあ。検索と知識の泉から生まれたんだから。索、知、泉、いずみ、イヅミ!


 イヅミが良いよ!


(ありがとうアベル。イヅミ、私の名前はイヅミ!)


 ピコン!


(アベル様から命名された事により、スキル「愛」がスキル「イヅミ」へと進化致しました。これにより秘匿されていたスキルの機能が解除され、スキルのイメージ化が発動致します)


 また何か起こった!?


 目の前に、白くモヤっとした煙が現れるとグルグル回って集まり出した。そして、グッと固まるとポワンっとした音と共に現れたのは。


「にゃあー」


 猫ちゃん!? 白い、スッとした姿で青い瞳のとてもキレイな猫ちゃんが僕の目の前に現れた。


(イヅミですにゃ)


 喋った! てか何で猫?


(アベルの頭の中にあったイメージにゃ、ちなみに喋り方もアベルの頭の中にあったにゃ)


 あう! 確かに昔、猫を飼いたいと思ってた時はあったけど。そんな喋り方まで想像してたかな?


(何だかアベルの頭の中には面白そうな事が詰まってるにゃ、今度ゆっくり覗かせてもらうにゃ)


 そんな事も出来るんだ。


(アベルから名前を貰ったから、私たちは心で繋がったにゃ。だからこんな事も出来るにゃ)


 そう言うと、白猫の姿だったイヅミの姿が僕の前からスッと消えた。


(聞こえるにゃ?)


 姿は無いのに声は今まで通り聞こえる。


(あの姿はイメージにゃ、別にここに居なくても良いし。アベルの中に戻ったり、アベルが行った事のある場所なら何処にでも出て来れるにゃ)


 おう。


(それと……)


 さっきよりも一際眩しい光が出たと思うと。寝床のシーツを纏った幼女がそこに立っていた。


(まだ生まれたばかりだからここまでにゃ。成長すればもっと素敵なレディになれるにゃ)


 そしてすぐに猫の姿に戻ったイヅミ。


(あの姿はとても疲れるにゃ、長時間は無理だから本当に必要な時だけにするにゃ)


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