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不遇スキル「わらしべ長者」で殺せぬ勇者 〜魔力ゼロでも無双します〜   作者: カジキカジキ


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新しい娯楽2

「ねえアベル、ウチから手紙を預かったのだけど」


 数日後、アンネが実家のマッターホルン材木商からの手紙を届けてくれた。手紙のやり取りと言うのは、学園から遠く離れた生徒の為に始めた事で、実家までの料金を学園が補助してくれる。同じ王都内に住んでいる生徒も利用できるけど、その場合の補助はない。大抵はその家の家礼か馬が運んできてくれるからね。


「何だろう?」


 封を開けると、中には結構な枚数の紙が入っていた。


「何々……えっ!? そんな事になったの!?」


 僕が驚いて声を上げると、アンネもビックリした様子で内容を聞いてきた。


「えっ、どうしたのアベル。何が書いてあったの?」


 あの娯楽を商品として売り出したいから、名前を考えてくれって、そして僕のブランドを立ち上げてコンドール商会で売り出すと書いてある。


 いつの間にコンドール商会にも話が行ってたの? マッターホルン材木商は材料になる木材の調達、製作は馴染みの職人さん達に任せて、販売についてはコンドール商会になるらしい。


 ついては、僕がこの娯楽の名前を考える事と、ブランド名、そして利益の分配について契約する事もあるから次の休みにコンドール商会へ帰ってきて欲しいと書かれていた。


 何だか思ったより大事になってしまってるよ?


 ・

 ・

 ・


「ただいまー」


 何だかここに帰ってくるのも自然になっちゃったな。手紙に書かれていた通り、学園の休みの日にコンドール商会に帰ってきた僕は、早速エマさんに捕まって事の詳細を説明させられた。


 勿論、今回の件はマッターホルン材木商からも詳しく聞いてはいるのだけれど。それ以上に僕から話しを聞きたかったそうだ。


「ごめんなさい、先に話しておいた方が良かったですか?」


「そうじゃないの、こっちこそ勝手に話を大きくしてしまって申し訳なく思っているのよ。それに、これはかなり大きな商売になるわ。私の鼻がピクピク反応するの!」


 話をした後で、本当に僕が娯楽が欲しいと言うだけでマッターホルン材木商と話しをしていたのだと理解されたエマさんは。


「やっぱり学園在学中での繋がりは貴重よね。アベル君はもっともっとお友達を作るのよ」


 そうこうしていると、マッターホルン材木商の人が到着したと連絡が入り、僕たちは応接室へと移動する。


「お待たせいたしました」


 部屋の中に入ると、見知った顔の男の人が二人と、知らない女の人が一人席から立ち上がって待っていた。


「皆さんお待たせ致しました、お座りになって下さいな」


 エマさんと僕も席へと座る。その後ろに番頭のジーンさん。


「皆さん揃っているようですが、アベル君の知らない人も居るだろうから紹介しますね。こちらの女性は職人組合の副局長でエミリア。今日はアベル君の組合への登録と、ブランド登録にあの娯楽品の登録の為に来てもらったの」


 えっ僕も組合に登録するの?


 不思議に思っていると、物を作って売るには。個人の場合に少数であれば路面売っても問題にされないけれど。沢山売ったり、売れそうな物は商会に卸す事になって、その場合は組合員でないとダメなんだって。


 そして、今回の玩具は間違いなく沢山売れるだろうから組合への登録とブランド登録、そして利益配分についてしっかり契約しないとダメだと念を押された。


 などと言うやり取りがあり、無事に登録された玩具の名前は「リバーシ」、ブランド名は「Avelエイベル」、販売利益の百分の五が僕のブランドに入る事になった。


「一セット売れた利益が銅貨百枚だとして、僕には銅貨五枚が入るんですね」


 そんな事をフッと呟くと、全員が驚いた目をして僕を見る。


「何を言っているのアベル君? 確かに一般用の安いリバーシだとその位でしょうが。貴族向けの高級品の金額はとんでもない事になるわよ、それにオーダーメイドや貴重資材、特別限定品とか作れば欲しいと言う貴族や商人は大勢いるわ」


 エマさんのその話しをきいて、皆ウンウンと頷いている。


「そして、そのキッカケになるのが」


 それまで袋に包まれて見せて貰えなかった物の包みが開かれる。


「おおーっ」


 黒く艶々した盤面に縁取りの模様は金細工? それに、コマを置く枠線は銀細工ですか? そしてコマは表と裏で別々の木材を貼り合わせて白黒が表現してあり、何かの紋様が描かれている。


「これは?」


コマに描いてある紋様を指差すと。


「この紋様は、第三王子ランバート様の紋様です。王家の紋章は勝手に使うと処罰の対象になりますが、まだ未継承の王子の紋様は当人への贈り物などであれば使っても問題ありません」


 思わずつまみ上げようとしたいた手を引っ込める。


「そして、こちらにはアベル君のブランドロゴを入れさせて貰います」


 と言って豪華なリバーシの台を裏返した部分に丸く縁取りだけされたスペースが作ってあった。


「これから大至急コレとロゴを持って職人の所へ行きます。ロゴ入れが終わったら持参しますので、アベル君は後、宜しく頼みますね」


 えっ?! 何、僕は何を宜しく頼まれたの?


 なるほどー、そうですか。


 僕はこれを学園に持ち帰り、Aクラスの中で第三王子にプレゼントしてクラスの中で流行らせる。そして、近々コンドール商会で売り出す事をサラッと宣伝して来いと言うわけですね。


 第三王子にプレゼントする品だからあれだけ豪華な作りにもしてあるし、それを見るであろうその周りの貴族子女はこぞって欲しがる計画だと。


 その為の高級品路線ですか。


 そうですか……僕もお小遣い稼ぎしないとアレなんで協力しますけど、そっかあ。


 なんて思っていると、僕の目の前でおもむろにもう一つの包みが開けられた。


「こちらは、アベル君の為のリバーシになります」


 うひょー!! かっこいい!


 ロイと同じ黒い盤面なんだけど、何コレ!? 木目が凄く良い! 縁の細工には植物がモチーフなのかな、そこに猫が遊んでいる様子が彫られている。


 猫は銀細工になってて光の加減で白く見えると言うことは、これはイヅミだね! 何でイヅミが? と思ったら、デザインはエマさんが描いたんだって! 凄いねエマさん!


 コマも、流石に貼り合わせにはなっていないけど、丸く丁寧に縁取りされて手に優しくて触ってて気持ちいい。


 これ本当に僕が貰っていいの?!


 こんなの貰ったら。僕、頑張ってロイに宣伝してくるね! たくさん注文取れるように頑張るからね!!


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