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だから僕は普通に音楽がしたい。  作者: Kei-ichi
第一章 桜の木の下から
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前奏の終わり - 夏樹の過去―大分から東京へ

(――ここまでが、前奏だ)

 心のどこかでそう区切る。


 このあと、僕は一度、過去に戻る。

 どうして東京に来たのか。どうして“普通”にしがみついているのか。

 そして、どうして新宿で、倍音にヨダレを垂らす彼女に会ったのか。


 順番に、ちゃんと話す。   



 僕――七海夏樹ななみなつきは、大分県のとある住宅街で生まれた。海にも山にも車で三十分で行ける場所。観光パンフレットに載るような温泉街ではなく、ごく普通の団地とスーパーと病院がそろった、いわゆる“ベッドタウン”。


 父は中堅企業の営業マン、母は専業主婦、妹がひとり。

 世間一般でいう「普通の家庭」。……ただし、ひとつだけ違った。


 父は元バンドマンだった。

 かつては本気でプロを目指していたらしい。青春の全部をステージに賭けて、結局は夢破れて、就職した。よくある話。だけど、彼の心に残った火種は消えなかった。

 だからこそ――ランドセルと一緒に、僕にはギターが与えられた。


「お前も、ギターを好きになれ」


 英才教育というよりは“押しつけたい愛情”だった。父は「やらなければそれでいい」と口で言いながら、その眼差しには常に「触れ。弾け。続けろ」が宿っていた。





               

                                                   

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