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B棟への連絡通路
踊り場を抜け、B棟へ続く渡り廊下。
低い窓枠からはグラウンドがよく見えた。
白球を追う野球部の掛け声。砂を蹴る音。吹奏楽部のトランペットが遠くでAの音を伸ばす。
廊下の床板がほんの少しだけ共鳴して、僕らの足の裏に「うん」と返事する。
それがなぜか、歩くリズムを揃えさせる。
(普通でいたい)
僕は心の中で繰り返す。
(普通でいられる場所に、いたい)
だけど隣にいる二人は、真っ直ぐな定規から少しズレた線。
そのズレが、時々やけに気持ちいい。
それを“悔しい”と思う自分がいるのも、また事実だった。