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掲示板の前で
階段をのぼる途中の踊り場。
壁に貼られた掲示板の中央には、真新しいポスターが四隅を赤い画鋲で止められていた。
――《文化祭企画募集》
活字は太くてやけに前向き。展示・ライブ・講演・ワークショップ。どれも輝きすぎて、少しだけ目がしょぼつく。
「“展示”、いい響き」
弥生が呟く。
彼女の視線はすでに自分のギターへと飛んでいるのが、横からでも分かる。
「“倍音浴体験”も、いい響き」
間髪入れずに彩月。
ガンクを抱きしめながら、まるで当然の選択肢みたいに。
「半分の客は“何それ”で帰るだろ」
僕は即ツッコミ。
「残り半分は?」
「……怖いもの見たさ」
「歓迎」
「歓迎しないで」
やりとりのテンポが軽快で、僕の返しが半拍遅れるとすぐ置いていかれる。
でも、置いていかれることが、少し楽しい自分がいる。