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だから僕は普通に音楽がしたい。  作者: Kei-ichi
第一章 桜の木の下から
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部室への道

 スロープを上りきると、校舎の空気が一気に変わった。

 ひんやりとした白い光。

 ワックスの匂いに、どこか甘い購買の揚げパンの匂いが混ざってくる。


「ねえ夏樹、弦は何派?」

 彩月の開口一番がこれだ。


「……いきなり?」

「重要でしょ」

「エリクサー。コーティング」


「やっぱり!」

 彩月の声が少し弾む。

「最近のコーティングは鈴鳴りを殺さないから。昔は“寿命=鳴りの死期”だったけど、今はライブ回すならエリクサー一択だよねー」


「廊下でそのテンションはやめてくれ」

「でも優しい情報だよ。“張り替え周期が伸びます”」

「……家計に優しいのは認める」


「ほら、やっぱり」

 彩月は、勝ち誇ったみたいににやりと笑った。


 隣で弥生が小声で挟む。

「私はマーチン派なんだけどなあ……」

「お、保守的」

「弦は一途でいいの」

「楽器は浮気しまくってるのに?」

「う、うるさい!」


 会話のラリーが、廊下の空気を跳ねさせる。

 すれ違う二年生たちがひそひそ声で囁く。


「あれ総音研じゃね?」

「丸い……」

「鍋?」

「鍋ではない」


 今日、三度目の正解。

 やっぱりこの学校には“鍋ではない委員会”でもあるんじゃないか。



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