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だから僕は普通に音楽がしたい。  作者: Kei-ichi
第二章 総音研、侵入
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Cadd9の出番

「夏樹」

 彩月が僕の肩を軽く叩く。

「少しだけ合わせて。その子の音ひとつだけ貸して。――普通のコード」

 その子というのは僕のギターのことを指している。彩月の言うとおり、僕はケースからギターを出し、ストラップをかける。

「キーは?」

「Gメジャー。4度のCadd9から綺麗に、まっすぐ」

「了解」

 弦に息を落とし、言葉にならない“ら”の母音だけで、そっと鳴らす。

 音が重なる。

 ガンクの“水”の輪郭に、D-50の鈴鳴りが粒を足す。そこへCadd9の開放感がフタをしない程度に広がる。

「……うん」

 彩月の口元がほどける。

「音の間に空席ができた。そこに座らせて」

 彩月はガンクの“鈴”へ指を落とし、弥生は高音弦をやさしく撫でる。僕はブリッジ寄りで薄いアルペジオ。

 重なったはずなのに、ぶつからない。

 真壁が小声で「バンドっていうより、三つの呼吸だ」と言い、成瀬が「波形で見たくなる」と笑った。

 最後に彩月が一度だけ強く、中央を叩く。

 ぽうん。

 音がゆっくり消えて、吸音材の壁が“よくやった”と頷いた気がした。

「これが、ここでの“普通”」

 彩月が言う。

「普通、なの?」

「うん。私にとっての、ね」


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