ソフィアと視察に行く。
俺とソフィアは、教会に併設された孤児院に来ている。
俺達が部屋に入ると、子供達が「チェスター様だ!わ~い!」と言って、集まって来る。
「チェスター様!遊んで!」
俺は、子供達に手を引かれ、部屋の中央に連れて行かれる。
前世で、孫と遊んだ時の事を思い出し、懐かしくなる。
「何して遊ぼうか?」
「鬼ごっこは?」
「私は隠れんぼが良い!」
俺は昔を思い出しながら、子供達と遊び始める。
あっ!
そう言えば、ソフィアと一緒に来てたんだ!
俺はソフィアの事が気になり、部屋の中を見回すと、ソフィアは女の子と、おままごとをしていた。
ソフィアがニコニコ笑っている。
子供好きなのだろうか?
それとも、嫌な表情を顔に出さないだけかな?
公爵家令嬢として、厳しく育て上げられているハズだ。
まあ、来たいと言ったのはソフィアだ。
俺は子供達と遊ぶ事を優先した。
暫く遊んでいたら、昼食の時間になった。
スタッフが「みなさん!昼食の時間ですよー!ちゃんと手を洗ってから、食堂に来て下さいね~!」
「は~い!」
子供達が部屋を出て行く。
「チェスター様も一緒にたべよう?」
小さな女の子が俺の手を握る。
「分かった。一緒に行こう!」
俺はそう言い、ソフィアを見ると、ソフィアも子供と手を繋ぎながら、俺の後ろをついてくる。
俺は前世で庶民だったから良いが、ソフィアは大丈夫か?
産まれも育ちも公爵家だ。
だが、ソフィアは何も言わずに付いてきた。
俺は小さな声で「ソフィア。屋敷に戻り、そこで昼食を取る事も可能だか?ここで良いのか?」と聞く。
するとソフィアが「以前の視察時も、チェスター様が子供達と一緒に食事をしたと聞き及んでおります。私もご一緒致します」
そう言った。
ここの食事も、俺の指示通りで、栄養バランスがとれたメニューだ。
俺達も、子供達の列の最後尾に並ぶ。
お盆を取り進んで行くと、パンやスープ。
メイン料理がのる皿を順番にお盆にのせて行く。
そして俺達は、2人並んで座り、子供達と一緒に昼食を食べた。
★★★★★
昼食を食べた後、子供達はお昼寝の時間だ。
俺達は、孤児院を出て屋敷に戻り、2人でお茶を飲みながら一休みする。
「ソフィア。食事は口に合ったかい?」
「はい。チェスター様。とても美味しく頂きました!」
「そうか。それは良かった!」
「それにケイトから、チェスター様は、何時も質素な食事をしていると聞いております」
「チェスター様の妻になる以上、私も同じ物を頂きますわ!」
「まあ、無理はしなくて良いぞ…俺の事は気にしなくて構わない。食事は毎日の事だ。無理するとストレスになるからな!」
「心遣い、感謝致します。でも、私も大丈夫です!」
まあ、本人が良いなら良いか?良いのか?
好きな物を食べて良いと、バイオレットを通じて、ケイトからも伝えてさせるか。
俺には言い難いかも知れないしな。
しかし、この世界の貴族達は、食べ物一つ取っても見栄を張る。
惑星○○産の○○です!
みたいな感じで、わざわざ食材をいろんな惑星から取り寄せる。
やはり俺は、庶民感覚が抜けない様だ。
皇族として、どうなんだろう?と、思わないでも無い。
まあ、俺の事は良いとして、ソフィアには厳しい様なら、好きな物を食べて貰おう!
屋敷で一休みしたら、今度は病院の視察だ。
俺達は車に乗り込み、病院に向かった。
病院に到着し、まず、辺りの確認をする。
花壇には綺麗な花が咲いていた。
そして花壇の世話を老人がしていた。
俺が“シルバーさんにも仕事を斡旋しろ”と指示したのが実践されていた。
病院の中に入る。
うん。
受付も看護師も人間だ。
俺が指示した通りになっていた。
「バイオレット。ここの管轄部署は何処だっけ?」
「はい。文部長官のハンナで御座います」
ああ、そうだった。
人が産まれて、教育して、死ぬまでをハンナに任せたんだ。
だから、病院や学校。
それから技術研究や老人ホーム等がハンナの担当だ。
「チェスター様の指示通り、昼間は人間をメインに雇用し、夜間はアンドロイドやロボットを活用した運営になっていると、ハンナから報告を受けております」
「そうか」
俺達は、病院長の案内で病院の視察を行う。
病室で病人に、ソフィアが声を掛けていた。
本当に優しい子だなぁ…もし、これが演技だったら、大女優になれそうだ。
そんな事を考えてしまった。
★★★★★
その日の夜、エラが買収した首都星のテレビ局から、俺とソフィアが慰問に行ったニュースが、帝国全土に流れた。
今回は、ソフィアがメインになる様、編集されていた。
孤児で子供達とおままごとをし、子供達と一緒に同じ物を食べる。
病院では、病人の手を握り、優しい言葉を掛ける。
うん。
完璧だ。
これなら、ソフィアの人気が上がるハズだ。
すると、相対的に俺の影が薄くなる。
俺は自由に動き易くなるし…だらけ易くなる。
最高だな!
その後、ソフィアから、定期的に孤児院や病院の視察に行きたいと相談があったと、バイオレットが報告に来た。
やりたい人に、やりたい事して貰うのが、一番成果が上がる。
だから俺は許可したのだった。




