ソフィアが首都星にやってくる。
先日、俺の婚約者ソフィアがワグナー公爵家の領地から、首都星に向かって旅立ったと連絡が入った。
しかし、その事は秘密だそうだ。
この世界には海賊が居る。
彼らに人質に取られたら大問題になる。
公爵家の面目丸潰れである。
それに貴族達。
現在の帝国では、爵位を上げるのが困難だ。
だからか?他人の足を引っ張ろうとする奴らが多い。
俺は婚約者だし、第4皇子で派閥の長になっている。
だから、内々に連絡が入った。
また、俺の母クラウディアにも連絡が入っているそうだ。
ソフィアは、これから暫くの間、母の元で行儀見習いをする。
事前の連絡も無く、いきなりやって来ると、失礼に当たるからだ。
まあ、行儀見習いと言っても、形式だけだ。
この科学技術が発達した世界では、教育カプセルに入って、知識をインストールしてしまう。
その後は、リハビリを兼ねて復習して、知識の固定化をして終了だ。
さて、ソフィアが来たら何をしようか?
寿命が長いこの世界だ。
夫婦でいる時間も長い。
皇帝陛下から許可を得た以上、離婚も出来ない。
まあ、離婚前提で結婚する人はいないワケだし、どうせ結婚するなら、少しでも仲良くしたいし…
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俺が部屋でだらけていると、執事のクレストンがやって来た。
「チェスター様、クラウディア様とソフィア様がお越しです」
どうやら母が、ソフィアを俺に紹介しに来たらしい。
俺は立ち上がり、背筋を伸ばす。
クレストンがドアを開けると、母とソフィアが入って来る。
「チェスター!こちらがソフィアちゃんよ!」
そう言って笑う。
「お初にお目に掛かります。ワグナー公爵家のソフィアで御座います」
そう言って、ソフィアが俺に挨拶をする。
「ソフィア嬢。初めまして、私がチェスターです」
俺がテーブルに座る様に促すと、母とソフィアが座る。
すかさず執事のクレストンがお茶を入れる。
それから暫く、世間話などをして過ごす。
ソフィアが「チェスター様、普段は何をされているのですか?」
う~ん。
最近は、部下達に丸投げしているから、何もしていない。
毎日、だらけて過ごしているとも言えない。
何て答えようか?
「首都星に土地を買って、現在開発中なので、そこの視察等をしています」
すると母が「そうなのよ!孤児院や病院を建設してね、慰問する姿がテレビで放映されたのよ!」
「そうなのですか!チェスター様。私もチェスター様のお役に立ちたいと思っております。是非、私も連れて行って頂けませんか?」
母が余計な事を言う。
転移門は、普通の人間では開けない。
ソフィアが一緒だと転移門が使えず、車で長距離移動しなくちゃいけないじゃないか!
まったく…余計な事を…
いや、待てよ。
この際、ソフィアに丸投げするのも、有りじゃないか?
エラに指示して、慰問している場面をテレビで放送させるか。
そうすれば、ソフィアの人気も上がる。
相対的に俺への注目も減るし…
俺が部屋で、だらけ易くなる。
ふふふ。
「では、ソフィア嬢。僕が慰問に行く時に声を掛けさせてもらうよ!」
「ありがとう御座います!チェスター様!」
「それと、私の事はソフィアとお呼び下さい!」
「分かったよ。ソフィア」
「はい。チェスター様!」
こうして俺は、ソフィアを連れ、慰問に行く事になった。
母とソフィアが退出し、俺はバイオレットを呼び出す。
「バイオレット!ソフィアに護衛&身の回りの世話係&話相手として、誰か付けられたないか?」
「では、私の眷属を1名、ガブリエルと相談して召喚致します」
こうして、ソフィアには、子爵級悪魔のケイトが、専属メイド兼護衛として付けられる事になった。
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俺は今日、ソフィアを連れ、慰問に来ている。
俺もまだ来た事の無い、教会に併設された孤児院だ。
ここの管理は、エラとミアに任せている。
俺はソフィアと手を繋ぎながら、教会の中に入る。
同行するエラの指示で撮影する。
「チェスター様!ソフィア様と手を繋いで下さい!」とエラに言われた。
教会の中の廊下を進む。
壁に絵が飾ってある。
神を模した絵だ。
だが…何となく、神の顔が俺に似ている気がする。
偶然だろうか?
廊下を抜けた。
正面には、巨大な神の像が設置されている。
近づき像を見る。
…この神の像の顔も、何と無く俺に似ている気がする…
どう言う事だ?
偶然だろうか?
俺が質問しようとすると、エラが「チェスター様が開発中のこの土地に、芸術のセンスのある者がいたのです。住民の雇用拡大の為、その者に製作を依頼しました!」
「そして、神の姿を見た人間はおりません。ですから、製作者が持つ神のイメージで製作したそうです!」
そうなのか?
でも、ソフィアが居る前で、俺に似てるだなんて言えないし…
取り敢えず、スルーする事にする。
そして、教会に併設されている孤児院に、ソフィアと共に向かった。




